電気工事士の人手不足をデータから解説！今の時代に最適な採用戦略とは？

電気工事業界の人手不足は深刻で、2045年には第一種で2万人、第二種で3千人の電気工事士不足が予測されています。

• 求人を出しても応募がない
• ベテランの退職が相次いでいる

そんな悩みを抱えている電気工事会社様も多いのではないでしょうか。

この記事では、政府統計データに基づいた人手不足の分析から効果的な採用戦略まで、電気工事会社の採用担当者が知るべき情報を解説します。

電気工事業界は2020年代に入り人手不足が急加速しており、今後5年間の採用戦略が企業の命運を分ける重要な局面となっています。

ここでご紹介する採用戦略を実践し、厳しい採用競争に勝ち抜きましょう。

≪ 今すぐできる採用戦略をチェックする ≫

電気工事士の現在の人数と業界規模【最新データ】

人手不足時代に効果的な採用戦略を立てるために、まずは電気工事士の現状データを把握しましょう。

電気工事業界は市場ニーズが非常に大きい一方で、業界構造や年齢構成に大きな特徴があります。
また、電気工事士の資格保有者数が、需要に対してどのように推移していくのかも把握しておきたい重要な要素です。

ここでは経済産業省や統計省が公開しているデータを元に、電気工事士の現在の人数や業界規模を解説します。

まずは足元の状況をしっかりと把握し、効果的な採用戦略に繋げていきましょう。

全国の電気工事士の内訳を詳しく見てみよう

令和3年度の経済センサス調査結果によると、現在の電気工事従事者の数は、全国で約40万人です。（表番号18、産業小分類「電気工事業」）

国内の就労者数約6,000万人のうち、約1%程度が電気工事に従事していることになります。
この約40万人が、国内の電気工事を支えているのです。

電気工事業の事業者規模別の割合は、以下のグラフの通りです。
特徴的なのは、従業員数が10人未満となる小規模事業所がおよそ8割を占めている点です。

この「小規模事業所が多数を占める」という状況は電気工事士が不足する原因の1つです。

小規模事業者が大半であるがゆえに、

• 事業の継続がベテラン技術者に依存している
• 労働環境の改善が進まない
• 教育にコストをかけられない

といった会社が多く、慢性的な人手不足に陥っていると言えるでしょう。

第一種・第二種の人数バランスは？

経済産業省の試算によると、第一種電気工事士は高齢者の一斉退職により、2020年ごろから2万人程度の人手不足が生じるとされています。
実際に人手不足を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

一方、第二種電気工事士は大量離職こそないものの、入職者の減少により3千人程度の人手不足が生じる可能性があります。

第二種よりも第一種の方が取得難易度が高い分、より深刻な人手不足となっています。

ただし、第一種電気工事士の人手不足を認定電気工事従事者で補填するケースも考えられます。
その場合、第二種電気工事士の人手不足がより深刻化する可能性も指摘されています。

もちろん、これは電気工事業界全体の傾向であり、企業の規模や所在地、事業内容によって人手不足の程度は異なるでしょう。
しかし、今後ますます人手不足が加速することは確実であり、業界全体にとって深刻な課題といえます。

高齢化が進んでいる年齢構成

電気工事業界では、高齢化の進行が深刻な課題となっています。

2020年度国勢調査の集計結果によると、電気工事士は45〜49歳が最も多く、50歳以上が半数以上を占めています。近い将来、これまで業界を支えてきた技術者の大量離職が懸念されています。

さらに深刻なのは、30歳未満の若年層の割合が10%前後と極めて低いことです。
この年齢構成では、技術継承の担い手となる中堅層が不足し、後継者不足の問題がより一層深刻化することが予想されます。

電気工事業界の高齢化は、他産業や建設業における他業種と比較してもそのスピードが速く、技術の継承や後継者の確保は業界全体が抱える喫緊の課題といえるでしょう。

＼ 電気工事士の人材をお探しなら業界特化型求人サイトで！ ／

掲載料金の試算もできます!!

過去10年間の電気工事士の人数推移

電気工事業界の現状が理解できたところで、次は過去10年間の電気工事士人数の推移について見ていきましょう。

これらの視点から過去10年間の推移を見ることで、電気工事業界に人手不足が生じたメカニズムが見えてきます。

他の建設業と比較した過去10年間の電気工事士の人数推移

以下の図が、過去10年間の電気工事士の人数推移を他の建設業と比較したものです。

業種別にみると従業者数推移には違いがあります。

統計データを見ると、電気工事業は、建設業界全体や土木工事業などと比較して、人数減少の傾向が緩やかであることが分かります。
これは電気工事が景気の影響を受けにくく、安定的な需要に支えられているためです。

しかし、この安定期に若年層の採用を強化できなかったため、現在30歳未満の割合が10%前後と非常に少なくなっています。
この点は、従事者数を増やすことができた機械設備設置工事業やとび・土工・コンクリート業とは対照的です。

安定した需要に支えられ世代交代を進められなかった影響が、今後のベテラン技術者の大量離職という大きな問題として顕在化しつつあります。

電気工事士試験の受験者・合格者数から見えてくること

過去10年間における第二種電気工事士試験の受験者数・合格者数推移は以下の通りです。

このグラフから見えてくるのは、「資格取得ニーズの堅調な推移」と「若年層を取り込むチャンス」という2点です。

第二種電気工事士の受験者数は、安定して年間10万人を超えています。
2021年以降は新型コロナウイルス蔓延による資格取得ブームやCBT方式の導入もあり、年間約15万人もの受験者が電気工事士を目指しています。

これは電気工事士が「手に職をつけられる」「食いっぱぐれしない」といった理由から、キャリアチェンジを考える異業種の人材や若手に根強く指示されていると言えるでしょう。

一方で、毎年5万人以上の合格者を輩出しているにもかかわらず、現場の人手不足は依然として続いています。
これは「資格は持っていても実務経験がない人材」と「即戦力を求める現場」との需給ミスマッチであると考えられます。

つまり、電気工事士に意欲のある潜在層を確実に実務経験者へと育成する研修制度やキャリアパスを提供することが、人手不足解消の大きなカギとなると言えるでしょう。

＼ 電気工事士の人材をお探しなら業界特化型求人サイトで！ ／

掲載料金の試算もできます!!

2045年に第一種・第二種電気工事士が不足するという経産省の予測データ

経済産業省のレポートによると、電気工事業界の人手不足規模は、2045年には2万人に及ぶとされています。

ここでは、そのレポートに基づいて、第一種・第二種電気工事士が将来的に不足する原因を解説します。

電気工事業界の人手不足がなぜ、どのように進行していくのか、そのメカニズムをしっかりと理解しましょう。

第一種電気工事士が2万人不足するデータの根拠

経済産業省のレポートによると、第一種電気工事士は高齢の技術者が退職する2020年ごろを境にして数万人規模の人材不足が生じる可能性が指摘されています。

ただし、第一種電気工事士を補完する認定電気工事従事者(※)により、一定程度は不足分がカバーされる見通しです。

※認定電気工事従事者とは？
　第二種電気工事士の資格を持ち、かつ所定の講習を修了することで、本来は第一種電気工事士の範囲である自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の簡易な電気工事を行うことができる者を指す。

第二種電気工事士も3千人不足する予測

第二種電気工事士の場合は高齢の技術者が大量離職することによる人手不足が生じる可能性は低くなっています。
それでも第一種電気工事士と同様に、2045年には約3千人の人手不足が発生する予測です。

第二種電気工事士の場合、第一種電気工事士の不足を補うために認定電気工事従事者の資格取得が奨励される可能性があります。
その場合、第一種電気工事士の不足がカバーされる一方で、第二種電気工事士の不足がより深刻化する可能性もあるでしょう。

＼ 電気工事士の人材をお探しなら業界特化型求人サイトで！ ／

掲載料金の試算もできます!!

電気工事士はなぜ人手不足になったのか？3つの主な理由

電気工事業界が人手不足になっている主な理由として、以下の3つが挙げられます。

これまで「なぜ電気工事士が減っているのか？」について焦点を当ててきましたが、ここでは具体的な人手不足の背景を解説します。

人手不足になった理由を知ることで、適切に対策をし、効果的な採用につなげていきましょう。
電気工事士の採用のコツについては、以下の記事で解説しています。

工業高校の卒業者数が減っている

人手不足の理由の1つ目は、少子化によって電気工事士のなり手自体が減少しているためです。

経済産業省の試算では、2000年から2030年にかけて18歳人口は約2/3に減少し、工業高校卒業者数は半減、そのうち電気科卒業生は60%減少する予想となっています。

学生の減少に加えて、強電系の教員の不足や設備の老朽化によって、認定校数自体も減少傾向です。

工業高校電気科卒業生の需要は他業界からも非常に高く、建設業界への入職は卒業生の約15%に留まっているというデータもあります。
※経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に 向けた課題と対応の方向性について

卒業生の減少と需要の高さから、工業高校からの電気工事士採用は今後ますます狭き門となっていくでしょう。

企業としては、普通科や大卒といった採用ターゲットの拡大や、有資格未経験者の中途採用・育成に取り組む必要があります。

離職率が20-40％と高く若手が定着しない

人手不足の理由の2つ目は、若手の離職率が20～40%と非常に高く、人材が定着しないことです。

経済産業省が調査した高卒・大卒者の就職3年後離職率のデータを以下に示します。

資料によると、電気工事業界の3年以内離職率は約20〜40%となっています。
これは他業種を含めた離職率の平均を上回る数値です。

電気工事業界の離職率が高い理由には「休日が少ない」「現場環境が悪い（粉塵等の発生など）」などが考えられます。

離職した若手は施工管理職への転身や同業他社への転職など業界に留まるケースもありますが、他業界への人材流出も少なくありません。
定着率を上げるための労働環境・現場環境の改善は、業界全体で取り組むべき課題であると言えるでしょう。

IT化や再生エネルギーで仕事量が急増している

電気工事士自体が不足している一方で、電気工事の需要が急増していることも、人手不足の理由の1つです。

電気工事の仕事が増えている背景には、次の要因が挙げられます。

（1）IT化によるデータセンターや基地局の建設ラッシュ

5GやAI技術、DX推進などにより、大規模な電力を必要とするデータセンターや、電気通信の根幹となる基地局の需要が急激に高まっています。

 IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社の調査によると、データセンターの増産投資予測高は2027年には1兆円を超える見込みです。

また、総務省の資料では、5Gの普及に伴う基地局整備がかなり進んでいることが言及されています。
2023年3月末の基地局数は260,356 局に達し、前年比で90,530 局が新たに設置されました。

（2）再生可能エネルギーの拡大

経済産業省の「エネルギー基本計画」では、2040年までに国内電力供給における再生可能エネルギーの割合を2040年に4～5割まで引き上げる計画となっています。（2023年時点で約2割）

この計画のため、太陽光・風力発電設備の新設や、それに伴う送配電設備や蓄電池の設置工事は、今後10年間にわたり爆発的に増加することが予想されます。

したがって、科学技術の発達や市場トレンドによって急激に増えた電気工事需要と、高齢技術者の大量離職が重なり、人手不足がより深刻化していると言えるでしょう。

＼ 電気工事士の人材をお探しなら業界特化型求人サイトで！ ／

掲載料金の試算もできます!!

電気工事士の採用競争が激化している現状

電気工事士の人手不足が深刻化することで、採用競争が激化しています。
採用コストが急増している中で、企業はどのようにして人材を確保すれば良いのでしょうか。

ここでは採用コストが急増している客観的な事実と共に、現状を打破する方法についても解説します。

求人倍率の上昇で採用コストが急増している

厚生労働省が公表した2025年6月時点の最新データによると、電気工事業界の有効求人倍率は全国平均で「3.81倍（パートを除く）」です。
※参考：一般職業紹介状況 参考統計表（厚生労働省）

これは全業種の平均有効求人倍率「1.17倍」と比較して非常に高く、電気工事士の採用競争が激化していることが伺えます。

結果として、企業は優秀な人材を確保するために、求人広告費や紹介手数料などの採用経費を大幅に増やさざるを得ません。
一般的な中途採用のコストは1人あたり100万円以上とされる中、電気工事士の採用単価は200万円に迫るケースも散見されます。

採用競争の激化は、企業の財政負担を重くするだけでなく、採用活動の長期化や人件費の高騰という形で、経営を圧迫する要因となっています。

給与水準の見直しが必要な状況

電気工事士の採用難を解消する手段として、給与水準の見直しが急務となっています。

厚生労働省による最新の調査結果によると、電気工事士の平均年収は548万円となっています。
※参考：厚生労働省「令和６年賃金構造基本統計調査　結果の概況」

2015年の同調査結果では、電気工事士の平均年収が462万円となっており、10年間で電気工事士の給与は大幅に上昇していることが分かります。

人件費や採用コストの高騰が給与に転嫁されている状況ですが、この上昇ペースでも、増加する工事量と業務の重要性に見合った水準とは言えない状況です。

給与水準を上げることは人材の定着に繋がったり、採用コストを抑制するといったメリットがありますが、青天井で上げてしまうと経営を圧迫しかねません。

給与増が難しい場合は、資格手当の充実やワークライフバランスの改善といった待遇面の改善が有効です。
特に若手は、職を選ぶ条件として給与と同じくらい待遇を重視しています。

給与と待遇を見直し、厳しい採用競争を勝ち抜きましょう。

＼ 電気工事士の人材をお探しなら業界特化型求人サイトで！ ／

掲載料金の試算もできます!!

電気工事士の人数推移データは採用にどう活かせばいい？

ここでは、電気工事士の人数推移データから読み取れる重要な採用ポイントを解説します。

これまでの内容で、電気工事業界は高齢者の大量離職と電気工事需要の増加によって深刻な人手不足にあることが分かりました。

激化する採用競争を勝ち抜くためには、これから紹介する具体的なアクションをぜひ実践してください。

データから見えた3つの採用ポイント

ここまで解説したデータから、人手不足を解消するためには、以下のようなの採用ポイントが考えられます。

採用ポイント	具体的アクション
（1）自社の認知度を高める	・SNSの活用 ・自社ホームページの運用 ・転職サイトや企業ウェブサイトとの連携
（2）採用の窓口を広げる	・工業高校・養成施設等へのアプローチを行う ・普通科高校の卒業生や大卒生、転職者をターゲットに加える ・意欲の高い電気工事士資格保有者にアプローチする
（3）労働環境を改善する	・休暇日を増やす ・残業を減らす ・3K（キツイ・汚い・危険）職場を改善する

まずは入職率の低さを改善するため、SNS等を利用して業界のPRや自社の認知度向上に努めましょう。

少子化の時代ですので、従来の工業高校・養成施設等からの採用に加えて、普通科高校や大卒生、転職層にもアプローチし、幅広く採用を募ることが大切です。

なお、人手不足解消のためには、採用した人材に定着してもらうことが最も重要です。
したがって、採用と並行して、給与水準や待遇の改善も進めましょう。

以上の具体的アクションをとることで、電気工事士の採用・定着がグンと向上します。

具体的な採用戦略は専門記事をチェック

電気工事士の採用活動は専門性が高く、必要な人材を確保するためには、ターゲットの明確化や効果的な訴求がより求められます。

電工採用.comでは、電気工事士会社の採用力を高める記事を多数紹介しています。
上述した採用ポイントをより具体的に採用活動に取り入れるためには、以下の記事をご覧ください。

＼ 電気工事士の人材をお探しなら業界特化型求人サイトで！ ／

掲載料金の試算もできます!!

工事士.comなら効率的に人材確保できる理由

電気工事士の人材確保を効率的に進めたいなら、工事士.comの利用がおすすめです。

ここでは、工事士.comがおすすめできる理由と、実際の成功事例をご紹介します。
今、人手不足に困っている電気工事会社の経営者の方・採用担当者の方はぜひ参考にしてください。

人手不足の今だからこそ工事士.comが有効

工事士.comは、電気工事士の採用に特化した専門の求人サイトです。

掲載企業数は10,000社を超え、月に45万人のユーザーが集まっています。
電気工事の仕事内容や業界の働き方を理解した求職者が多いため、ミスマッチの少ない母集団にアプローチすることが可能です。

工事士.comに関する詳細は、工事士.comのサービス内容ページよりお問い合わせください。

＼ 電気工事士の人材をお探しなら業界特化型求人サイトで！ ／

掲載料金の試算もできます!!

実際の活用事例と成功パターン

工事士.comは、これまで日本全国10,000社以上の電気工事会社様にご利用いただいてきました。

ここではほんの少しですが、実際の活用事例と成功パターンをご紹介します。

多くの企業様から「工事士.comを利用して良かった」というお声をいただいています。

ここで掲載しきれなかった採用成功事例については、以下のボタンからご覧ください。

＼工事士.comでは 採用成功事例を多数紹介中！／

まとめ｜人数推移から分かった「勝てる採用戦略」

この記事では、電気工事士の人数推移データから導き出した、人手不足時代における「勝てる戦略」をご紹介しました。

これからの数年は、高齢者の大量離職が控える重要な局面です。
今後5年間の採用戦略が企業の命運を分けるといっても過言ではないでしょう。

この時期に採用した人材は、5年後・10年後に貴社を支える重要な存在となります。
当サイトを有効に活用し、将来を担う人材との出会いにつなげてください。