電気工事士は外国人採用できる?必要な在留資格やプロセスから成功事例まで解説!
電気工事士の外国人採用は、2022年の「特定技能制度」改正により法的に可能になりました。
電気工事会社の経営者様や採用ご担当者様の中には、「人手が足りず、せっかくの工事依頼を断らざるを得ない」といった、苦しい判断を迫られている経営者の方も多いのではないでしょうか。
このような人材不足にお悩みの企業にとって「外国人採用」は有力な解決策ですが、制度の複雑さや文化の違い、コスト面の不安から、踏み出せずにいる企業も少なくありません。
この記事では、厚生労働省の最新データや、外国人採用が業界初となった関電工の成功事例などを交えながら、採用を成功させるための実践的なノウハウを解説します。
- 電気工事士の外国人採用は本当に可能なのか?
- 電気工事士の外国人採用に必要な2つの在留資格
- 電気工事士の外国人採用プロセスの具体的な5ステップ
- 電気工事士の外国人採用コストと投資対効果の現実的な試算
- 成功事例から学ぶ外国人採用のポイント
- 電気工事士の外国人採用で知っておくべきリスクと対策法
- 外国人採用で電気工事士の人手不足を解決するために
- 外国人採用と並行して活用したい求人サイト
貴社の人材戦略の新たな一手として外国人採用を成功させるためにも、ぜひ最後までお読みください。


電気工事士の外国人採用は本当に可能なのか?【法的根拠と最新動向】
電気工事士(現場作業員)の外国人採用は、2022年の制度改正により可能です。
電気工事業界では、これまで外国人労働者を採用できたのは施工管理職のみでしたが、法改正により実際に現場で働く作業員も採用できるようになりました。
実際に、業界大手の株式会社関電工がこの新制度を活用して業界で初めて外国人電気工事士の採用に踏み切るなど、具体的な動きも始まっています。
この章では、特定技能における外国人採用と関電工の事例について解説します。
- 特定技能制度の対象拡大で実現した外国人採用
- 関電工の業界初採用事例が示す可能性
外国人採用を可能にした法的な根拠と、業界の最新動向を具体的な事例をもとにご確認ください。
なお、電気工事士の採用活動全般のノウハウについては、「電気工事士の採用のコツ8選完全ガイド!求人サイト活用や選考プロセスのポイントを解説 」で詳しく解説しています。

特定技能制度の対象拡大で実現した外国人採用
外国人電気工事士の採用は、2022年の「特定技能制度」改正によって可能となっています。
この改正では、電気工事が特定技能「建設分野」の対象業務として正式に認められ、企業が外国人を採用するための法的なプロセスが整備されました。
以前の制度では、建設分野の業務区分が細かく分かれており、電気工事は対象外でした。しかし、制度が見直されたことで業務区分が「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つに統合され、電気工事も「ライフライン・設備」の一部として位置付けられています。
■ 建設分野における業務区分
【ライフライン・設備】
(特定技能1号)
指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等に従事
この制度変更は、深刻な人手不足に悩む電気工事業界にとって大きな意味を持ちます。一定のスキルを持つ外国人を法律に基づいて計画的に受け入れられるため、人材確保の新たな選択肢として注目されています。
関電工の業界初採用事例が示す可能性
「特定技能制度」の改正を受け、株式会社関電工が業界初の特定技能外国人材を採用しました。
同社は2024年、特定技能「建設分野」の試験に合格したフィリピン国籍の技能労働者14名を、屋内線技能職の正社員として採用しています。
■ 特定技能制度を活用した外国籍社員の採用について
これまで、外国人電気工事技能職を受け入れる制度はありませんでしたが、電気工事も当該制度の対象になったことを受け、建設分野の「特定技能1 号」試験に合格した14 名のフィリピン国籍の技能労働者を屋内線技能職社員として採用しました。
2024年04月18日
採用された14名は、日本人新入社員と同様の研修を終え、各支店へ配属されました。現場では照明器具の取り付けなどの実務からスタートし、実践的なスキルを習得しています。
関電工のこの取り組みは、一企業の成功事例というだけではありません。人手不足に悩む多くの企業にとって、特定技能制度の活用が事業を継続するための有効な選択肢となる、業界全体のモデルケースと言えるでしょう。
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電気工事士の外国人採用に必要な2つの在留資格
現在、電気工事業界で外国人を雇用する場合は、「特定技能1号」または「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が必要です。
「特定技能1号」は「建設」分野に該当するもので、主に現場での実践的な作業を担う人材向けです。
一方、「技術・人文知識・国際業務」は、設計や施工管理などの専門的な業務に従事する人材向けのビザです。
どちらの在留資格を選ぶかは、企業が外国人に「どのような業務を任せたいか」によって異なります。ここからは、それぞれの資格とメリット・デメリットについて解説します。
- 特定技能1号(建設分野)の要件と対象業務
- 技術・人文知識・国際業務ビザの活用範囲
- 各制度のメリット・デメリット比較
2つの在留資格の違いを知って、自社の採用戦略に生かしましょう。
特定技能1号(建設分野)の要件と対象業務
特定技能1号は、深刻な人手不足に対応するため、即戦力となる外国人材を現場作業員として受け入れるための在留資格です。
したがって、国によって一定の技能とコミュニケーション能力が担保されている点が特徴と言えます。
主な取得要件と対象となる業務は、以下のとおりです。
■ 特定技能1号 概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得要件 | 【試験合格ルート】 「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方に合格 ・技能評価試験:「技能検定3級」または「建設分野特定技能1号評価試験」 ・日本語能力試験:「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験」 【技能実習等からの切替ルート】 ・技能実習2号を良好に修了 ・外国人建設就労者 |
| 対象となる業務 | 中心業務:建築物内外の配線工事、配電盤の設置、照明器具の取り付けなどの電気工事、電気通信工事全般の作業など 関連業務:主たる業務に付随する、資材の運搬や片付けなどの作業など |
※参考:特定技能外国人制度の概要(一般社団法人 建設技能人材機構)
特定技能1号を取得するには、必要な試験に合格するか技能実習を修了させなくてはなりません。
現場の人手不足を直接解消したい企業にとって、特定技能1号の活用は有効的な1つの手段です。
技術・人文知識・国際業務ビザの活用範囲
「技術・人文知識・国際業務」ビザは、現場作業員ではなく、技術者や管理者として採用する場合の在留資格です。
なお、取得するには、大学で該当業務に関連する科目を専攻していること、または関連業務での10年以上の実務経験が必要となります。
電気工事業界において「技術・人文知識・国際業務」を取得するとできる業務は、主に下記のとおりです。
■「技術・人文知識・国際業務」を取得するとできること
- CADを用いた電気設備の設計
- 工事費用の積算
- 現場の工程・品質・安全などを管理する施工管理
- 海外の取引先との技術的な交渉や調整
在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、現場での単純作業や肉体労働を主な業務とすることは原則として認められていません。あくまでも設計や管理など、専門的・技術的な役割を担うことが前提です。
そのため、専門知識を持つ技術者や将来の幹部候補を採用したい場合に、活用すべき在留資格と言えます。
各制度のメリット・デメリット比較
「特定技能1号」と「技術・人文知識・国際業務」は、どちらにもメリット・デメリットとがあります。
自社のニーズに合わせて最適なほうを選択しましょう。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
■ 「特定技能1号」と「技術・人文知識・国際業務」のメリット・デメリット
| 比較項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | ・学歴を問わず、現場作業員を直接雇用できる ・試験合格ルートの取得者であれば、一定の技能と日本語能力が保証されている | ・在留期間に上限がある(通算5年まで) ・原則として家族の帯同ができない |
| 技術・人文知識・国際業務 | ・更新を続ければ長期的な雇用が可能 ・家族の帯同が認められるため、人材が定着しやすい | ・採用対象に学歴や職歴の限定がある ・現場作業に従事することはできない |
現場の即戦力が今すぐ欲しいのか、長期的な視点で専門職を育てたいのか、自社の目的を明確にして制度を選ぶことが重要です。
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電気工事士の外国人採用プロセスの具体的な5ステップ

外国人採用を成功させるには、日本人採用とは異なる特有のプロセスを理解し、計画的に進める必要があります。
「何から手をつければいいのか分からない」という担当者の方も多いでしょう。しかし、やるべきことをステップごとに分解すれば、決して難しいものではありません。
ここからは、特定技能外国人の採用決定から就業開始までの流れを、大きく5つのステップに分けて解説します。
- 事前準備と社内体制整備
- 候補者選定と面接の実施方法
- 在留資格申請と受入れ手続き
- 特定技能1号外国人支援計画の策定と実施
- 入社後フォローと定着支援
事前準備から入社後のフォローまで、各段階のポイントを押さえておきましょう。
事前準備と社内体制整備
外国人採用の成否は、候補者を探し始める前の「事前準備」で決まると言っても過言ではありません。
まずは、外国人材を受け入れるための社内体制を万全に整えることから始めましょう。
具体的には、以下のような項目を事前に検討し、準備を進めます。
■ 外国人採用を受け入れるための事前準備
- 業務内容の明確化
どの工事でどんな作業を任せるのかを決める - 規程の見直し
日本人と同等以上の待遇になるように、社内規定を見直す - 支援担当者の選任
生活面での相談役となる支援担当者を決める - 予算の確保
人材紹介会社への手数料、在留資格の申請費用、住居の初期費用などの採用コストを算出し、予算を確保する
こうした地道な準備が、採用後の外国人の定着に繋げられるでしょう。
候補者選定と面接の実施方法
受け入れ準備が整ったら、次は候補者の選定です。
海外在住者であれば現地の送り出し機関、国内在住者であれば人材紹介会社などを通じて、候補者を探すのが一般的です。
面接は通訳を介してオンラインで行うことが多く、限られた時間で候補者の適性を見極めなければなりません。
面接では、以下のような点を確認すると良いでしょう。
■ 外国人採用時の面接で確認すべきポイント
- 必須要件
「特定技能1号」または「技術・人文知識・国際業務」取得の要件を満たしているか、証明書などで確認する - スキル・経験
これまでの電気工事に関する実務経験や得意な作業を質問する - 就労意欲
日本で働きたい動機や将来のキャリアプランなど目的を確認する - 人柄・適応力
共同生活への順応性や、安全意識の高さなども判断材料になる
スキルについて質問するだけではなく、候補者の人柄や日本での生活への意欲を総合的に判断することが、採用後のミスマッチ防止につながります。
在留資格申請と受入れ手続き
採用する人材が決定したら、速やかに出入国在留管理庁への在留資格申請手続きに移ります。
申請手続きは複雑で多くの書類が必要となるため、採用プロセスの中で最も時間を必要とします。
なお、在留資格申請は、「これから日本に入国される外国人」と「すでに日本に在留している外国人」で異なるため、ご注意ください。
■ 在留資格申請手続きのポイント(これから日本に入国する場合)
- 在留資格認定証明書交付申請を行う
- 出入国在留管理庁による審査(特定技能1号の場合は、通常3ヶ月ほどかかる)
- 在留資格認定証明書交付
- 入国・在留
■ 在留資格申請手続きのポイント(すでに日本に在留している場合)
- 在留資格変更許可申請、または在留期間更新許可申請を行う(これから行おうとする活動にかかるポイント計算表とポイントを立証する資料なども提出)
- 出入国在留管理庁による審査(ポイント計算の結果が70点以上であること など)
- 在留資格変更許可・在留期間更新許可
なお、手続きは行政書士や登録支援機関に代行を依頼するのが一般的です。スムーズな受け入れを実現するためにも、専門家のサポートを受けながら、余裕を持ったスケジュールで申請準備を進めることをおすすめします。
特定技能1号外国人支援計画の策定と実施
特定技能1号外国人を受け入れる企業には、彼らが日本で安心して生活できるよう支援することが法律で義務付けられています。
そのために不可欠なのが「支援計画」の策定と実施です。
■ 支援計画に盛り込む主な内容(義務的支援10項目)
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
外国人の定着率は、支援が充実しているかどうかで大きく左右されるため、「義務的支援10項目」は非常に重要です。
なお、支援は自社で行うことも可能ですが、専門的なノウハウが必要なため、多くの企業は出入国在留管理庁に登録された「登録支援機関」に業務を委託しています。
入社後フォローと定着支援
採用後も外国人材が能力を最大限に発揮し、長く会社に貢献してもらうためには、継続的なフォローアップが欠かせません。
具体的には、以下のような取り組みが重要になります。
■ 外国人人材に対する入社後フォローの施策例
- 定期的な面談と日常のコミュニケーション
法律で定められた3ヶ月に1度の面談に加え、普段からの声かけで仕事や生活の悩みを把握しておく - 分かりやすい業務指示の工夫
「分かりやすい日本語」を使ったり、図や写真を見せたりして、指示が正確に伝わるように工夫する - キャリアパスの提示によるモチベーション向上
資格取得支援制度などを活用してキャリアパスを示すことで、仕事へのモチベーションをアップさせる
入社後のきめ細やかなサポートが、外国人材の定着率を高めます。
電気工事士の外国人採用コストと投資対効果の現実的な試算
外国人を採用する上で、最大の関心事はやはりコストではないでしょうか。
特定技能外国人の採用コストには、大きく分けて、採用時に一時的に発生する「初期費用」と、雇用期間中に継続してかかる「ランニングコスト」があります。
一見、日本人採用よりも費用がかさむように見えますが、内訳を正しく理解し、長期的な視点で投資対効果(ROI)を評価することが重要です。
この章では、中小企業が採用を検討する際に役立つ、具体的な費用内訳とコスト比較、投資効果の考え方を解説します。
- 初期費用の内訳(申請費用・仲介手数料・教育費)
- ランニングコストと日本人採用との比較
- 長期的なROI(投資対効果)の評価方法
これらの数値を詳しく理解して、貴社にとって価値ある投資になるかを検討しましょう。
なお、電気工事士の採用単価を詳しく知りたい方は、「電気工事士の採用単価はいくら?採用コストを最適化する4つの実践方法や成功事例を紹介」をあわせてご確認ください。

初期費用の内訳(申請費用・仲介手数料・教育費)
海外から特定技能外国人を採用する場合、渡航費や現地の送り出し機関への支払いなどが加わるため、初期費用が高額になる傾向があります。
主な初期費用の内訳は、以下のとおりです。
■ 外国人採用の主な初期費用の内訳
| 費用項目 | 費用 |
|---|---|
| 人材紹介手数料 | ・人材紹介会社への支払う費用 ・目安:約10~40万円 |
| 送り出し機関手数料 | ・相手国の送り出し機関に支払う費用 ・目安:約20~60万円 |
| 在留資格申請費用 | ・行政書士などの専門家に申請を代行してもらう費用 ・目安:約10~20万円 |
| 渡航費 | ・現地から日本へ来るための航空券代など ・目安:10万円 |
| 住居の初期費用 | ・敷金・礼金、最低限の家具・家電などを準備する費用 ・目安:約20万円 |
これらの費用は採用活動に必要なので、事前に予算を組んでおきましょう。
ランニングコストと日本人採用との比較
月々のランニングコストは、特定技能特有の費用が加わる点を理解しておく必要があります。
■ 主なランニングコストの内訳
- 給与・社会保険料など
- 日本人と同等以上と定められているため、日本人従業員と大きな差はなし
- 登録支援機関への支援委託費
- 内容:住居の契約や役所の手続き、定期的な面談など法律で定められた支援を専門機関に委託するための費用
- 費用目安:月額 1.5万円~3万円程度
単純な月額コストだけを比較すると、支援委託費の分、外国人を雇用する方が高く見えるかもしれません。しかし、日本で人材を採用するよりも、定着率の高い外国人材は長期的に見てコストパフォーマンスが高い選択肢とも言えるでしょう。
長期的なROI(投資対効果)の評価方法
外国人採用の投資対効果(ROI)は、目先のコストだけでなく、長期的なスパン(3〜5年間)で評価することが重要です。
ROIを評価する上での大切なポイントは、「採用コストを年次換算で比較する」ことです。
定着率によって、年あたりの実質的な採用コストは大きく異なります。
■ 採用コストの投資対効果の比較例
- 特定技能外国人を採用した場合
初期費用80万円 ÷ 5年間定着 = 実質的な年間採用コスト16万円 - 日本人が早期離職した場合
採用コスト50万円 ÷ 1年で離職 = 実質的な年間採用コスト50万円
人材が定着し、スキルアップすることで生産性が高まれば、受注機会の損失を防ぐこともできます。その場合、採用コストを十分に回収できるので、企業の利益に貢献してくれます。
初期投資を惜しまず、受け入れ体制や教育に力を入れることが、結果的に高いROIを生み出すでしょう。
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成功事例から学ぶ外国人採用のポイント

すでに外国人採用を成功させている企業の事例から、実践的なポイントを学ぶことも重要です。
業界のリーディングカンパニーから、同じ悩みを抱えている中小企業まで、各社がどのように課題を乗り越え、外国人を貴重な戦力へと育て上げたのかを学びましょう。
- 関電工の採用事例の詳細分析
- しろくま電力株式会社の採用事例の詳細分析
- 株式会社フロンティアエクスプレスの採用事例の詳細分析
この章では、成功している企業に共通する「言語・文化への配慮」など、外国人を採用する際のポイントについて解説します。
関電工の採用事例
業界の先駆けである関電工の成功要因は、日本人の新入社員と同じプロセスで行う体系的な教育プログラムにあります。
同社はフィリピン国籍の14名を採用し、茨城県の人材育成センターで約8ヶ月間、日本人社員と合同で研修させました。
この期間に、電気工事の基礎技術だけでなく、日本のビジネスマナーや企業文化も共に学ぶことで、国籍を越えた一体感が生まれてきます。また、現場配属後もフォローアップ研修を実施し、継続的なスキルアップと定着を支援しています。
このような手厚い教育体制からも、将来を担う「社員」として育成されているということを、外国人材にも感じてもらえるでしょう。
※参考:関電工の外国人採用事例<特定技能制度を活用した外国籍社員の採用について(関電工)>
しろくま電力株式会社の採用事例
しろくま電力株式会社の事例の成功の秘訣は、海外の大学と直接連携し、計画的に専門人材を育成するという独自のアプローチにあります。
同社はベトナムの工科系大学と提携し、日本語と電気工学を学ぶ2年間の特別教育プログラムを現地で開設しました。
このプログラムを通じて、卒業生は日本語能力試験(JLPT)のN3レベルと、第三種電気主任技術者(電験三種)の資格取得を目指します。日本国内での採用が難しい若く優秀な理工系人材を、安定的に確保するこのモデルは、特に専門知識が求められる分野で有効です。
目先の労働力不足を補うだけでなく、長期的な視点で企業の技術力を支える人材を育てる、戦略的な採用事例と言えるでしょう。
※参考:しろくま電力株式会社の外国人採用事例<ベトナムの大学と提携し人材育成 電験三種電気技術者を多数輩出(一般財団法人電気技術者試験センター)>
株式会社フロンティアエクスプレスの採用事例
中小企業のモデルケースとなるのが、株式会社フロンティアエクスプレスの「資格取得支援」を軸とした採用戦略です。
同社では、数百万円かけても日本人の応募が1件も来ないという厳しい状況から、外国人採用に舵を切り、今では現場スタッフの約半数を外国人が占めています。
特筆すべきは、採用した外国人スタッフの中から、第二種電気工事士の資格取得者が2名誕生したことです。この成功体験は、本人たちのキャリアアップへのモチベーションを高めるだけでなく、日本人社員にも良い刺激を与え、組織全体の活性化につながったようです。
採用して終わりではなく、明確なキャリアパスを示すことで、外国人を会社の未来を担う貴重な人材へと育てている良い事例と言えます。
※参考:株式会社フロンティアエクスプレスの外国人採用事例<現場の半数が外国人スタッフに。電気工事士も生まれ想像以上の戦力化に成功(リフト株式会社)>
言語・文化的配慮による定着率向上
これまでの成功事例に共通しているのは、外国人をただの労働力としてではなく、「仲間」として受け入れるための言語・文化的配慮です。
外国人材の定着率を高めるためには、以下のような取り組みが有効です。
■ 外国人採用の定着率向上のためのポイント
- 業務外でのコミュニケーションの促進
食事会や社員旅行などのイベントを企画し、気軽に交流できる場を設ける - 日本人社員の異文化理解
外国人材の出身国の文化や習慣について、日本人社員が学ぶ研修会などを開催する - 相談しやすい環境づくり
業務上の指示だけでなく、生活面での悩みなども気軽に話せるような雰囲気や相談窓口を設置する - 文化や習慣への配慮
食事や礼拝の時間など、個々の文化や習慣を尊重する
業務を教えるだけでなく、安心して働ける環境を整えることが、結果的に外国人材の長期的な定着や企業の成長に繋がるでしょう。
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電気工事士の外国人採用で知っておくべきリスクと対策法

外国人採用は、日本人の採用時にはない特有のリスクや課題があります。
しかしリスクは、事前に把握し、適切な対策を講じることで十分に管理することが可能です。
ここからは、事前に知っておくべきリスクと対策法について解説します。
- 法的コンプライアンスの注意点
- 労務管理上の課題と解決策
- 専門家サポートの活用方法
リスクと対策を理解することで、より安全な採用活動が可能になります。
法的コンプライアンスの注意点
外国人雇用において、最も注意すべきはコンプライアンスの遵守です。
特に、「在留資格で許可された業務範囲を超えて働かせてしまう」と不法就労助長罪にあたり、企業側も厳しい罰則の対象となります。
また、給与や労働時間などの労働条件において、国籍を理由に日本人と差別的な扱いをすることも法律で固く禁じられています。雇用契約を結ぶ際は、必ず日本人従業員と同等以上の条件を保証し、契約内容を本人が理解できる言語で丁寧に説明することが求められます。
在留カードの有効期限管理を徹底し、更新手続きを怠らないなど、基本的なルールを守ることが外国人・企業双方を守ることに繋がるでしょう。
労務管理上の課題と解決策
現場の労務管理では、言語の壁や文化・労働慣行の違いが課題となりがちです。
例えば、日本では当たり前の「報告・連絡・相談(報連相)」の習慣がなかったり、時間に対する感覚が異なったりすることで、業務に支障が出るケースがあります
こうしたトラブルを防ぐには、一方的に日本のルールを押し付けるのではなく、なぜそのルールが必要なのかを丁寧に説明し、相互理解に努める姿勢が重要です。
具体的には、作業マニュアルや安全標識に図やイラストを入れたり、母国語を併記したりする工夫が有効です。
また、定期的な面談で悩み事をヒアリングし、早い段階で解決できれば、離職のリスクも低減できるでしょう。
専門家サポートの活用方法
外国人採用に関する法的手続きや労務管理は専門的なため、自社だけですべてを完璧に行うのは難しいです。
担当者の負担が大きくなったり、意図せず法令違反を犯してしまったりするリスクがあります。
そこで有効なのが、専門家のサポートを積極的に活用することです。相談内容に応じて、それぞれの専門家に頼ることで、リスクを軽減できます。
例えば、以下のような業務で課題を抱えている場合、専門家に相談してみましょう。
■ 外国人採用に関する主な相談先
| 課題 | 相談先・相談内容 |
|---|---|
| 在留資格の申請手続き | ・相談先:行政書士 ・相談内容:複雑なビザ関連の書類作成や申請代行 など |
| 雇用契約や就業規則の整備 | ・相談先:社会保険労務士 ・相談内容:法律に準拠した労働条件の整備 など |
| 人材の募集や入社後の生活支援 | ・相談先:登録支援機関 ・相談内容:候補者探し、入社後の生活サポート など |
自社の状況に合わせて信頼できる専門家に依頼できれば、結果的に安全で効率的な外国人採用を実現できるでしょう。
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外国人採用で電気工事士の人手不足を解決するための方法
外国人採用で人手不足を解決するためには、業界の将来展望を意識しつつ、具体的なアクションプランを立て、段階的に計画を実施する必要があります。
この章では、以下の2つの視点から、人手不足を解決する方法について解説します。
- 今すぐ始められる具体的なアクションプラン
- 業界の将来展望と戦略的な位置づけ
これらの情報を活用し、実際に外国人採用に着手してみましょう。
今すぐ始められる具体的なアクションプラン
外国人採用を成功させるには、計画を立てて段階的に進める必要があります。
まずは情報収集から始め、リスクを最小限に抑えながら少しずつステップアップしていきましょう。
具体的には、短期・中期・長期の視点でアクションプランを立てることをおすすめします。
■ 外国人採用のアクションプラン
- 短期(~3ヶ月):情報収集と専門家への相談
- 人材紹介会社や登録支援機関のウェブサイトを比較検討する
- 無料相談などを活用して、自社の状況で採用が可能か、費用はどのくらいかなどの情報を集める
- 中期(3~6ヶ月):採用計画の策定と社内準備
- 専門家のアドバイスを基に、採用人数や予算を盛り込んだ計画を立てる
- 受け入れ部署の理解を得て支援担当者を決め、社内の体制を整える
- 長期(6ヶ月~1年):採用と受け入れ体制の最適化
- 少人数での受け入れを開始する
- 課題を洗い出し、社内マニュアルの整備や教育プログラムの改善を行う
実際に受け入れた経験やノウハウは、今後の本格的な採用活動に役立ちます。
業界の将来展望と戦略的な位置づけ
外国人採用は、人手不足対策にとどまらず、企業の持続的な成長に欠かせない経営戦略です。
日本の生産年齢人口の減少は加速し、国内での技術者獲得競争はますます激化しています。
5年後には、外国人技術者が現場の主力として活躍するのが当たり前の時代になっている可能性もあります。
実際に、以下のグラフが示すように、多くの業界で外国人労働者数が増加傾向です。

このような未来を見据え、他社に先駆けて外国人採用のノウハウを蓄積し、多様な人材が活躍できる組織を作ることが、厳しい人材獲得競争を勝ち抜くためには重要です。
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外国人採用と並行して活用したい「工事士.com」
外国人採用は人手不足を解決する有効な手段ですが、採用活動のすべてを外国人材だけに頼るのは現実的ではありません。
在留資格の申請や支援計画の策定など、外国人採用には時間と手間がかかります。そのため、即戦力採用も同時に進めておくことが、安定した人材確保の鍵となります。
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まとめ
この記事では、深刻な人手不足に悩む電気工事業界の経営者や人事担当者向けに、特定技能制度を活用した外国人採用について解説しました。
- 2022年の法改正により、電気工事業界でも特定技能制度を活用した外国人電気工事士(現場作業員)の採用が法的に可能になった
- 外国人採用において必要な在留資格は「特定技能1号」と「技術・人文知識・国際業務」の2種類があり、採用目的に応じて、在留資格を正しく理解し使い分ける必要がある
- 外国人採用は初期費用やランニングコストがかかるが、定着率を考慮した長期的な投資対効果(ROI)で判断することが重要になる
- 採用を成功させるには、資格取得支援や言語・文化的配慮など入社後の手厚いフォローアップと定着支援が重要になる
本記事で解説したアクションプランを参考に、信頼できる専門機関(登録支援機関など)に一度相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。


