施工管理の人手不足を解消するには?原因・リスク・5つの対策法を徹底解説!

施工管理の人手不足は深刻化しています。主な原因は、ベテランの大量退職・長時間労働による若者離れ・3Kイメージ・2024年問題・女性が活躍しにくい環境などです。問題を解決するには、求人方法の見直し、待遇改善、業務効率化、未経験者育成、外国人材活用など複合的な対策が必要です。

本記事では、最新データをもとに施工管理の人手不足の実態と、その原因から解決法まで解説します。

この記事でわかること
  • 施工管理の人手不足の実態
  • 施工管理が人手不足になる5つの原因
  • 施工管理の人手不足が企業経営に与える3つのリスク
  • 施工管理の人手不足を解消する5つの対策法

自社の状況と照らし合わせながら、効果的な採用戦略を実践しましょう。

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目次

施工管理の人手不足の実態

施工管理の人手不足は感覚的な話ではありません。

建設業界全体で就業者数はピーク時から約30%減少する一方、建設投資額は増加傾向にあり、深刻な需給ギャップが生じています。

この章では、最新の統計データをもとに施工管理の人手不足を数値で確認していきます。

施工管理の人手不足の実態
  • 建設業の就業者数はピーク時から約30%減少
  • 施工管理技士の有効求人倍率は5.93倍
  • 大手企業でも「中卒・未経験可」の採用条件に

建設業の就業者数はピーク時から約30%減少

建設業の就業者数は、1997年のピーク時に685万人でしたが、2024年には477万人まで減少しました。

■ 建設業就業者数の推移

  • 1997年:685万人
  • 2024年:477万人
  • 増減率 :▲30.4%

※参考:最近の建設産業行政について(国土交通省)

一方で、建設投資額は2025年度見通しで75兆5,700億円と、底堅い需要が続いています。(※参考:令和7年度(2025年度)建設投資見通し(国土交通省)そのため、仕事はあるのに人がいない状態が続いており、一人あたりの業務負担も増えています

就業者数が3割減少する中で、建設投資額が高水準を維持している状況は、限られた人材で増大する業務をこなさなければならない現場の厳しさを表しています。この需給ギャップは今後さらに拡大すると見込まれており、早急な対策が必要です。

施工管理技士の有効求人倍率は5.93倍

厚生労働省の調査によると、施工管理技士(建築・土木・測量技術者)の有効求人倍率は5.93倍に達しています。(※2026年2月時点。パートを含む)

全産業平均の1.19倍と比較すると約5倍と極めて高水準です。施工管理者を新たに採用することがいかに難しいかが分かります。

ちなみに、建設業の他の職種の有効求人倍率もあわせて見てみましょう。

■ 建設業の職種別求人倍率

職種有効求人倍率
施工管理技士(建築・土木・測量技術者)5.93倍
建設躯体工事7.48倍
土木作業従事者6.22倍
電気工事従事者3.35倍
全産業平均1.19倍

※参考:一般職業紹介状況(令和8年2月分)(厚生労働省)

このような状況を踏まえると、求人を出しても「応募が来ない」、もしくは「応募があっても条件が合わず採用に至らない」というケースも増えてしまいます。したがって、採用方法の見直しや待遇を改善しなければ、採用競争で優秀な人材を確保するのは難しいでしょう。

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施工管理が人手不足になる5つの原因

施工管理の人手不足問題には、複数の要素が影響しています。

企業が効果的な対策を打つ前に、まずは人手不足が発生する原因を正しく理解しておきましょう。

ここからは、施工管理の人手不足を引き起こす5つの原因を解説します。

施工管理が人手不足になる原因
  • ベテランの大量退職と技術・ノウハウの引き継ぎ不足
  • 長時間労働・休日出勤による若者離れ
  • 建設業に根強い「きつい・汚い・危険」のイメージ
  • 2024年問題(時間外労働上限規制)の影響
  • 女性が活躍しにくい職場環境

自社の現状と照らし合わせながらご確認ください。

1. ベテランの大量退職と技術・ノウハウの引き継ぎ不足

ベテランの大量退職と技術・ノウハウの引き継ぎ不足は、施工管理の人手不足を加速させている課題の1つです。

建設業就業者の年齢構成を見ると、55歳以上が約37%を占める一方、29歳以下はわずか約12%と極端に偏っています。

■ 建設業従事者の年齢構成

建設業就業者の高齢化の進行

※出典:最近の建設産業行政について(国土交通省)

また、過去20年間で65歳以上の就業者は37万人から80万人台へと倍増したのに対して、29歳以下は88万人から56万人へと約4割減少しました。このままでは、技術やノウハウの引き継ぎが途絶えるリスクがあります。

世代間のバランスが崩れている現状では、技術伝承の時間も人手も不足しており、業界全体の技術力低下が懸念されています。

2. 長時間労働・休日出勤による若者離れ

長時間労働・休日出勤による若者離れが、建設業界の人手不足を深刻化させています。

建設業の年間総実労働時間は全産業平均を上回っており、工期遵守や突発的なトラブル対応により、残業や休日出勤が常態化している現場もあります。週休2日制が浸透していない企業も多く、若手にとって魅力的な労働環境とは言いにくい状況です。

長時間労働・休日出勤による若者離れの状況は、以下のとおりです。

■ 建設業の「若者離れ」が起きる要因

  • 年間総実労働時間:全産業平均を上回る水準
  • 週休2日制の未整備:多くの現場で土曜出勤が常態化
  • 転勤・出張の多さ:生活の安定が難しい

実際に、建設業の高卒就職者の3年以内離職率は43.2%となっており、全産業平均の38.4%を上回っています。(※参考:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)(厚生労働省)上記のような建設業界特有の労働環境が若手の定着を阻んでいると言えます。

3. 建設業に根強い「きつい・汚い・危険(3K)」のイメージ

建設業に根強く残る「きつい」「汚い」「危険」という3Kイメージも、若年層の入職を遠ざけています。

建設業に対して、いまだに以下のような認識が残っているのも事実です。

■ 建設業の「3K」イメージ

  • きつい:長時間労働や休日出勤が多く、肉体的な負担が大きい
  • 汚い:粉塵や泥にまみれる作業環境で、清潔な職場とは言えない
  • 危険:高所作業や重機操作など、事故のリスクが高い

確かに、夏の暑さや冬の寒さなど過酷な環境での作業が多く、騒音にさらされる現場も多いです。

しかし、近年は、週休2日制の導入やICT技術の活用など、労働環境の改善が進んでいます。それにも関わらず、長年蓄積されたイメージは簡単には払拭できず、若者や保護者の間でも「建設業=厳しい仕事」という認識が残っている場合があります

4. 2024年問題(時間外労働上限規制)の影響

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、原則として月45時間・年360時間の上限が設定されました。

従来は、工期を守るために長時間労働を前提とした現場が多くありましたが、今後は1人の施工管理者が担当していた業務を複数人で分担する必要があるため、現場での必要人数が増加しています。

特に中小企業は、限られた人員で複数の現場を掛け持ちしているケースも多いため、上限規制への対応に苦慮しています。人材を新たに採用しようとしても現在の超売り手市場では簡単に確保できず、工事の受注制限や工期の延長が必要になることも考えられます。

5. 女性が活躍しにくい職場環境

女性が活躍しにくい職場環境も、施工管理の人手不足を深刻化させる要因です。

2024年の建設業の女性割合はわずか18.2%にとどまり、全産業平均の45.5%と比較すると圧倒的に低い水準です。(※参考:建設業デジタルハンドブック(一般社団法人日本建設業連合会)

女性の参入を阻んでいる要因は、以下のとおりです。

■ 建設業の女性就業者が少ない要因

  • 長時間労働や転勤の多さ
  • 育児休暇制度や時短勤務制度の不足
  • 女性専用のトイレや更衣室が未整備

労働力人口が減少する中、女性が安心して働ける環境整備は、人手不足解消に向けて重要な課題です。

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施工管理の人手不足が企業経営に与える3つのリスク

施工管理の人手不足は、「受注機会の損失」「既存社員の離職連鎖」「取引先からの信頼低下」といったリスクを及ぼし、企業経営そのものを脅かす危険性があります。

施工管理の人手不足が企業経営に与えるリスク
  • 人手不足で案件を受注できず売上が減る
  • 既存社員に負担が集中し離職が連鎖する
  • 工期の遅れや品質低下で取引先の信頼を失う

人手不足を現場の問題だけに留めず、会社全体のリスクと捉えましょう。

人手不足で案件を受注できず売上が減る

現場を管理する施工管理者が足りなければ、法的にその工事を請け負うことはできません。建設業法では、工事現場ごとに「主任技術者」や「監理技術者」といった、一定の資格や実務経験を持つ技術者の配置が義務付けられています。

したがって、現在、多くの建設企業が「仕事はあるのに、受けられる人がいない」というジレンマに直面しています。特に複数現場を抱える企業では、技術者の数が受注可能件数の上限を決めてしまうため、案件があっても断らざるを得なくなってしまうでしょう。

施工管理者が不足している状態で無理に受注を強行すれば、一人あたりの業務負荷が激増し、工期遅延や重大な事故を招く恐れがあります。安定した経営を実現するためには、法定要件を満たす技術者の確保が最優先課題です。

既存社員に負担が集中し離職が連鎖する

施工管理者が不足したまま案件を受注し続けると、既存の管理者に過度な負担が集中します。

1人で複数現場を掛け持ちしたり、長時間労働や休日出勤が常態化したりすると、心身の疲労が蓄積していきます。過労やストレスによる離職が発生すると、残されたメンバーにさらに業務が集中し、離職を誘発しかねません。

実際、建設業の高卒就職者の3年以内離職率は43.2%に達しています。若手が定着しない環境では人材育成も進みません。

離職を連鎖させないためにも、適正な人員配置と労働環境の改善が重要です。

工期の遅れや品質低下で取引先の信頼を失う

施工管理者の不足は、工期遅延や品質低下を引き起こし、取引先からの信頼を失うリスクもあります。

経験の浅い管理者に現場を任せたり、1人で複数現場を監督させたりする状況では、進捗管理や品質チェックが不十分になりがちです。納期に間に合わない、仕上がりに不備が見つかるなどのトラブルが重なれば、発注者からの評価は急速に下がってしまいます。

建設業界では信頼関係が次の受注につながるため、一度失った信用を回復するには長い時間と多くのコストが必要になります。したがって、持続的な成長を目指す企業にとって、管理体制の強化は必須と言えるでしょう。

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施工管理の人手不足を解消する5つの対策法

施工管理の人手不足に対して、企業が実践できる対策法を5つご紹介します。

施工管理の人手不足を解消する対策法
  • 求人の掲載方法を見直して採用力を強化する
  • 待遇・労働環境を改善して定着率を高める
  • 施工管理アプリやITツールで業務を効率化する
  • 未経験者の採用・育成体制を構築する
  • 外国人採用を検討する

一度に全てを実施する必要はなく、自社の状況に合わせて優先順位をつけて取り組んでください。

1. 求人の掲載方法を見直して採用力を強化する

求人方法の見直しは、施工管理の人手不足解消において即効性のある対策です。

ハローワークや一般求人サイトだけに頼ると、建設業に関心のある求職者に情報が届きにくく、応募が集まりにくい傾向があります。

建設業・電気工事業に特化した求人サイトを活用すれば、施工管理経験者や資格保有者が閲覧している媒体で求人を出せるため、ターゲットへ効率よくアプローチできます。

求人掲載を強化する3つのポイントは、以下のとおりです。

■ 求人掲載強化のポイント

  • 建設業特化の求人サイトを活用する
    経験者や資格保有者が集まる媒体で募集し、ターゲット層に直接リーチする
  • 求人原稿に具体的な待遇を記載する
    「残業月平均15時間」「週休2日制」「資格取得費用全額負担」など数値で示す
  • 自社の魅力を伝える
    SNSで自社の作業風景や完成物を投稿し、働きたいと思ってもらえるような魅力を伝える

求職者は複数の企業を比較検討しているため、待遇や働き方を具体的に記載することで、安心して応募に踏み切りやすくなります

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採用戦略や求人に応募が来ない原因については、以下の記事をご覧ください。

2. 待遇・労働環境を改善して定着率を高める

待遇・労働環境の改善は、新規採用だけではなく、既存の従業員を辞めさせないために必要です。

給与水準の見直し、週休2日制の導入、残業時間の管理、福利厚生の充実など、働きやすさを実感できる環境になれば、離職のリスクを抑えやすくなります。

定着率を高める施策には、以下のようなものがあります。

■ 施工管理の定着率を高める施策

施策内容
給与水準の見直し有資格者への年収事例を参考に、市場相場を意識した給与設定を行う
週休2日制の導入完全週休2日制を導入し、仕事のモチベーション維持を図る
残業時間の管理月の平均残業時間を示し、繁忙期でも上限を設定する
福利厚生の充実退職金制度、家族手当、住宅手当などを充実させる

定着率の向上は、長期的に見てもコスト効率の良い人手不足対策で、採用にかかる費用や手間を大幅に削減できます

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従業員の定着率を高める方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

3. 施工管理アプリやITツールで業務を効率化する

デジタル化への投資は、限られた人材で品質を維持しながら、受注を拡大するための戦略的な投資です。

施工管理アプリやクラウドツールの導入により、書類作成・写真管理・工程管理などの業務を効率化することで、少ない人数でも現場を回せる体制ができます。

主な業務効率化の方法は、以下のとおりです。

■ 施工管理に活かせる業務効率化の主なツール

ツール内容
施工管理アプリ現場写真を自動分類し、日報をスマートフォンから直接入力することで事務作業時間を削減できる
クラウド化図面や工程表を一元管理し、複数の現場でもリアルタイムな状況把握と迅速な意思決定が可能になる
情報共有システムチーム全体で作業進捗を共有し、報告の手間を省いて現場作業に集中できる環境を作る

IT化は業務効率を高めるだけではなく、若手にとって魅力的な職場に見えるため、採用面でのアピールポイントにもなります。DX推進は人手不足対策と採用力強化の両面で効果的です。

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DX化にあたって活用できる補助金や助成金については、以下の記事で詳しく解説しています。

4. 未経験者の採用・育成体制を構築する

未経験者を採用し、自社で育てる体制を作ることは人手不足対策として有効です。

即戦力だけを求めるのではなく、未経験者を育成することで採用の幅を広げられます。

■ 未経験者採用を成功させる3つのポイント

  • 研修制度・OJT体制を整備する
    先輩社員がマンツーマンで段階的に指導する仕組みを作る
  • 資格取得支援制度を導入する
    施工管理技士の受験費用や講習費用を会社が全額負担する
  • 自社の文化に合った人材を育成する
    一から教育し、長期的な技術力の蓄積と定着率向上を目指す

未経験者採用は、自社のやり方を最初から教えられるため、業務の標準化がしやすく、育成過程で会社への愛着が生まれやすいというメリットがあります。育成には時間と手間がかかりますが、長期的には技術力の蓄積と定着率の向上につながると言えるでしょう。

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建設業の人材育成については、以下の記事をご覧ください。

5. 外国人採用を検討する

「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を活用すれば、施工管理補助人材として採用が可能です。

建設業の外国人労働者は2024年時点で約17.8万人にまで及んでおり、年々増加しています。

外国人採用を受け入れる際の主なポイントは、以下のとおりです。

■ 外国人採用受け入れのポイント

ポイント内容
活用可能な在留資格「技術・人文知識・国際業務」「特定技能1号」などで施工管理補助や現場作業を担当させる
言語・文化面の配慮業務指示は図や写真で視覚的に伝え、日本語学習支援や定期面談で不安を解消する
専門機関の活用登録支援機関のサポートを受け、在留資格申請や生活面のフォローを専門家に委託する

外国人採用にあたっては、言語や文化の違いに配慮した受け入れ体制の整備が重要であり、成功させるためには、計画的な準備と継続的なサポートが必要です。

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外国人採用のプロセスや成功事例については、以下の記事をご覧ください。

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まとめ

本記事では、施工管理の人手不足の実態と原因、企業経営へのリスク、そして具体的な解決策について解説しました。

この記事のまとめ
  • 建設業の就業者数はピーク時(1997年)から約30%減少し、施工管理技士の有効求人倍率は5.93倍と全産業平均の約5倍に達している
  • 施工管理の人手不足の主な原因は「ベテランの大量退職」「長時間労働による若者離れ」「3Kイメージ」「2024年問題」「女性が活躍しにくい環境」の5つ
  • 人手不足を放置すると、受注機会の損失・離職の連鎖・取引先からの信頼低下という3つのリスクが企業経営を直撃する
  • 解決策は「求人掲載の見直し」「待遇・労働環境の改善」「ITツールの活用」「未経験者育成」「外国人採用」の5つの対策を状況に応じて組み合わせることが重要

施工管理の人手不足は、採用努力だけでは解消できない構造的な問題であり、待遇改善・業務効率化・育成体制の整備を組み合わせた複合的なアプローチが不可欠です。

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