人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)とは?助成金額や申請の流れを分かりやすく解説

「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」とは、建設事業主が雇用する建設労働者に対して、技能講習や特別教育などを受講させた場合に、経費と賃金の一部を助成する制度です。

建設業界で深刻化する人手不足を解消するには、今いる従業員のスキルアップと新たな人材の確保を両立させる戦略が必要になります。しかし、教育には多額の費用と時間がかかるため、コスト負担に悩む経営者も多いのではないでしょうか。

そこで活用したいのが「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」です。この制度を利用すれば、研修経費と期間中の賃金助成を受けられるため、リスクを抑えた人材育成に取り組めます

本記事では、制度の概要や助成金額、申請手続きの流れなどを解説しています。

この記事でわかること
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の概要
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の助成金額
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の対象となる事業主と技能実習
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)助成金申請の流れ
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の申請に必要な書類と記入のポイント
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)のよくある失敗例と申請時の注意点
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)と採用活動を組み合わせた人材戦略

「助成金を使って教育コストを抑えたい」「手続きが難しそうで不安」とお悩みの経営者や人事担当者の方は、本記事を参考に自社の育成計画を見直してみてください。

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目次

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)とは?制度の概要

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)は、建設事業主が従業員に対して技能講習や特別教育を有給で受講させた場合に、経費と賃金の一部を助成する制度です。

建設業界では慢性的な人手不足が続いている中で、従業員のスキルアップ支援と企業の負担軽減が求められています。

この章では、制度の背景や仕組みについて、以下の3つの視点から解説します。

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)とは
  • 建設業界の深刻な人手不足と人材育成の必要性
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の目的と仕組み
  • 他の建設業向け助成金との違い

建設業界の深刻な人手不足と人材育成の必要性

建設業界では就業者の高齢化と若手入職者の減少が深刻で、2024年の人手不足倒産は99件にも達しました。多くの企業が採用活動に苦戦しており、外部から即戦力を確保するのは簡単ではありません。

そのため、既存社員のスキルの底上げによって、組織全体の生産性を維持する取り組みが重要です

現場の安全を守り施工品質を維持するためには、継続的な教育への投資が求められます。しかし、中小企業が積極的に教育費用を捻出することは大きな負担になります。そこで国は、費用負担を抑えながら人材育成に取り組める環境整備を進めてきました

例えば、人材開発支援助成金や建設事業主等に対する助成金など、研修経費や賃金の一部を補助する制度が用意されています。

人手不足が加速する中で、従業員の能力開発は「コスト」ではなく「投資」として捉え、積極的に検討すべき時期に来ています。助成金制度を活用しながら計画的に人材育成に取り組めれば、持続可能な経営基盤を構築できるでしょう。

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の目的と仕組み

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)は、建設労働者の技能向上と雇用の改善を目的としています。

具体的には、建設事業主が従業員に対して、業務に必要な技能講習や特別教育などを有給で受講させた場合に申請可能です。訓練にかかった経費と、訓練期間中の賃金の一部が支給されるため、企業は金銭的リスクを抑えて人材育成に取り組めます。

主な助成内容は、以下のとおりです。

■ 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の助成内容

  • 経費助成:受講料、教科書代、指導員謝金、会場借上料など
  • 賃金助成:受講日の賃金に対する補助

※参考:建設事業主等に対する助成金のご案内(厚生労働省)

経費助成は、中小企業の場合、最大3/4(20人以下の場合)が助成されます。

一方、賃金助成は、労働者が訓練を受講する日(1日3時間以上)に対して、1日あたり8,550円(20人以下の中小企業の場合)が支給され、最大20日分まで受給できます。(※参考:人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)(厚生労働省)

その結果、訓練期間中の教育コストを大幅に圧縮できるでしょう。

人材開発支援助成金の種類

人材開発支援助成金は、従業員の職業能力開発を支援するための制度であり、目的に応じて以下のコースが用意されています。

人材開発支援助成金のコース種類

人材開発支援助成金の種類目的
人材育成支援コース職務に関連した専門知識や技能を習得させるため、OFF-JTやOJTを組み合わせた訓練を実施する
教育訓練休暇等付与コース従業員が自発的に教育訓練を受けるための有給休暇制度などを導入し、実際に取得させる
建設労働者認定訓練コース職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を行い、建設労働者の能力開発を図る
建設労働者技能実習コース建設業に必要な技能講習や特別教育などを受講させ、技術向上を図る
人への投資促進コースデジタル人材の育成や高度な職業訓練など、人への投資を加速させる訓練を実施する
事業展開等リスキリング支援コース新規事業の立ち上げや業務改革に伴い、新たな分野の知識やスキルを習得させる

※参考:人材開発支援助成金(厚生労働省)

これらのコースの中でも、建設業の事業主が活用しやすいのは、建設業独自の事情に合わせて設計された「建設労働者技能実習コース」と「建設労働者認定訓練コース」の2つです。他のコースよりも要件が建設業の実態に即しており、経費助成などの面で優遇されています。

両者の主な違いを、表にまとめました。

■ 「建設労働者技能実習コース」と「建設労働者認定訓練コース」の違い

比較項目建設労働者技能実習コース建設労働者認定訓練コース
目的・現場作業に必須の資格取得
・安全衛生教育を通じた技能向上
・職業訓練校等での長期的な職業能力の開発
対象講習技能講習や特別教育など認定職業訓練
実施場所登録教習機関など認定訓練校
期間短期間(数日)長期の訓練も含む
選択のポイント・現場で必要な資格を短期間で取得させたい
・業務の合間に受講させたい
・自社や事業主団体で訓練を実施したい
・若手社員に体系的な技能を身につけさせたい
・長期的な育成を行いたい
・働きながら夜間や週末に通わせたい

建設労働者技能実習コースは、特定の作業に必要な資格や技能を短期間で習得し、現場での即戦力を目指す場合に適しています。足場の組立てや玉掛けなど、実務に直結するスキルや安全への知識を効率よく身につけられます。

一方、建設労働者認定訓練コースは、職業訓練校などで時間をかけて、体系的に学ぶ制度です基礎から応用まで、職業人としての能力をじっくりと育てたい場合に選ばれています。

「現場作業に必要な資格をピンポイントで取得させたい」なら技能実習コース、「基礎から時間をかけて育成したい」なら認定訓練コースを選びましょう。

他の建設業向け助成金との違い

建設業界では、「人材開発支援助成金」以外にも「トライアル雇用助成金」や「人材確保等支援助成金」がよく活用されていますが、教育訓練とは目的が異なります。

■ 「人材開発支援助成金」と「トライアル雇用助成金」「人材確保等支援助成金」の違い

  • トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)
    35歳未満の若年者や女性を原則3ヶ月間「試行雇用」する場合に使える制度で、採用のミスマッチを防ぐことが目的であり、教育費用の補填ではない
  • 人材確保等支援助成金
    魅力ある職場づくりのために、人事評価制度の整備や設備の導入(女性用トイレの設置など)を行った場合に助成される「職場環境の改善」に対する支援のこと

「誰に」「何を」支援したいのかを整理し、最適な助成金を選択しましょう。

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人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の助成金額はいくら?

金額はいくら

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)では、研修にかかる費用と期間中の人件費をダブルで支援する仕組みが整っています。

企業規模や受講者の年齢によって支給額が異なるため、事前に試算しておくことが重要です。

この章では、助成額の決まり方や計算例、受給額をアップさせるための要件について解説します。

経費助成と賃金助成の詳細
  • 経費助成の助成額と計算方法
  • 賃金助成の助成額と支給条件
  • 賃金向上助成・資格等手当助成による上乗せ

計算例を参考に、自社がどれくらいの支援を受けられるのかを確認しましょう。

経費助成の助成額と計算方法

経費助成は、技能実習の実施にかかった実費相当額の一部を補填してくれます。

支給対象になる経費には、受講料や教科書代だけではなく、実習場所の借上料や指導員への謝金なども含まれます。

助成率は企業の規模や受講者の年齢によって、以下のように異なるので注意してください。

なお、1つの技能実習につき、受講者1人あたり10万円が支給の上限額です。

■ 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)経費助成の助成率

区分助成率
中小建設事業主(20人以下)支給対象費用の3/4
中小建設事業主(21人以上)
35歳未満の労働者について
支給対象費用の7/10
中小建設事業主(21人以上)
35歳以上の労働者について
支給対象費用の9/20
中小建設事業主以外の建設事業主が、自らが雇用する女性建設労働者に技能実習を行う場合支給対象費用の3/5

※参考:人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)(厚生労働省)

※「中小建設事業主」ではない建設事業主の方は、女性建設労働者に係る技能実習を実施する場合に限り支給対象になる

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)は、特に小規模な事業主や若手社員への教育に対して手厚い支援が受けられる設計になっています。

また、複数の従業員を同時に受講させる場合は、人数分の上限枠を活用できるため、まとまった人数での計画的な受講が効果的です。

賃金助成の助成額と支給条件

賃金助成は、建設労働者が技能実習を受講している期間中に、支払われる賃金の一部を助成する制度です。

従業員が現場作業を離れて講習を受ける間も給与が発生するため、企業の負担を軽減する目的があります。

建設労働者1人あたりの支給額は以下のとおり、企業規模によって日額が設定されています。

■ 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)賃金助成の助成額

区分助成額
中小建設事業主(20人以下)1日あたり8,550円
※CCUS登録者は1日あたり9,405円
中小建設事業主(21人以上)1日あたり7,600円
※CCUS登録者は1日あたり8,360円

※参考:人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)(厚生労働省)

CCUS(建設キャリアアップシステム)とは、建設業界の技能者の資格、現場経歴等を登録・蓄積するシステムのこと

支給条件として、所定労働時間内に受講させ、時間分の賃金を通常通り支払う必要があります。また、1日3時間以上の受講が要件となり、1つの技能実習につき最大20日分までが助成対象です。

賃金向上助成・資格等手当助成による上乗せ

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)には、基本の助成額にプラスして、企業が従業員の処遇改善に取り組むことで、助成金の上乗せ受給が可能になる「賃金向上助成」と「資格等手当助成」も用意されています。

両者の上乗せ要件は、以下のとおりです。

■ 「賃金向上助成」と「資格等手当助成」の上乗せ要件

  • 賃金向上助成
    訓練終了後1年以内に、対象労働者の毎月の賃金を5%以上増加させる
  • 資格等手当助成
    就業規則等に資格手当の規定を設け、対象労働者に手当を支払い、賃金総額を3%以上増加させる

上記の要件を満たした場合、それぞれ以下の金額が上乗せされます。

「経費助成」と「賃金助成」への上乗せ額

区分上乗せ額
経費助成への上乗せ支給対象経費の3/20
賃金助成への上乗せ(雇用保険被保険者数20人以下)1日あたり 2,000円
賃金助成への上乗せ(雇用保険被保険者数21人以上)1日あたり 1,750円

※参考:人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)(厚生労働省)

例えば、雇用保険被保険者数21人以上の中小建設事業主での場合、上乗せ要件をクリアすれば通常の賃金助成額7,600円に加えて、1日あたり2,000円が加算されます。

賃金改定や手当の導入を行うことで、従業員の意欲向上と助成額アップを同時に実現することができます。

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人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)対象となる事業主・対象となる技能実習とは?

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)を活用するには、「会社としての要件」「受講させる従業員の要件」「対象になる講習の内容」を正しく理解しなければなりません。

この章では、支給対象となる事業主の定義や技能実習の範囲について詳しく解説します。

対象となる事業主・対象となる技能実習
  • 助成金の対象となる建設事業主の要件
  • 対象となる技能講習・特別教育の一覧
  • 受講者(建設労働者)の要件
  • 電気工事業でよく活用される講習例

自社が対象に含まれるかを確認し、無駄のない計画を立案しましょう。

助成金の対象となる建設事業主の要件

助成金の対象となる建設事業主は、基本的には「建設業を営む中小企業」が対象ですが、雇用保険の加入状況なども細かく定められています。

主な要件は以下のとおりです。

■ 助成金の対象となる建設事業主の要件

  • 資本金3億円以下または従業員300人以下の建設事業主
  • 建設の事業として雇用保険料率の適用を受けている
  • 雇用管理責任者を選任している
  • 受講者に所定労働時間内の賃金を支払っている

※参考:建設事業主等に対する助成金のご案内(厚生労働省)

以上の条件に加えて、過去に不正受給がない点や、労働関係法令を遵守している点も求められます。「雇用管理責任者」の選任は忘れがちなポイントなので、早めに社内で決定し、周知しておきましょう。

対象となる技能講習・特別教育の一覧

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)では、建設業務に直接関連する幅広い訓練が助成対象になります。

それぞれの教育・講習を、以下の表に整理しました。

■ 建設労働者技能実習コースの対象となる技能講習・特別教育

区分具体例
技能講習玉掛け、ガス溶接、車両系建設機械運転、足場の組立て等作業主任者 など
特別教育足場の組立て、フルハーネス型墜落制止用器具使用、低圧電気取扱い など

※参考:建設事業主等に対する助成金のご案内(厚生労働省)

現場で必要になる資格が助成対象かどうかについては、厚生労働省のパンフレットや教習機関の案内で事前に確認しておくと安心です。計画的に資格取得を推進し、現場の安全性を高めましょう。

受講者(建設労働者)の要件

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の助成金を受け取るには、講習を受ける従業員自身も一定の条件を満たさなければなりません。

主な要件は、以下のとおりです。

■ 建設労働者技能実習コースの対象となる受講者(建設労働者)の要件

  • 申請事業主に雇用された「雇用保険被保険者」である
  • 事業主本人や役員は受講者として対象外になる
  • 事業主からの業務命令として受講する
  • 受講期間中に適正な賃金が支払われている

なお、賃金助成は所定労働時間内に受講した場合のみが対象です。休日や勤務時間外に受講させる場合は、労働基準法に基づく割増賃金の支払いは必要ですが、賃金助成の対象外になります。

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人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)助成金申請の流れを7ステップで解説

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)を受け取るには、申請手順の理解と厳格な期限管理が必要です。

この章では、申請から受給までの流れを7つのステップに分けて解説します。

助成金申請の流れ7ステップ
  • STEP1:受給資格の確認と事前準備
  • STEP2:受講する技能講習の選定
  • STEP3:計画届の作成と提出
  • STEP4:技能講習の受講と賃金の支払い
  • STEP5:必要書類の準備と受講証明書の取得
  • STEP6:支給申請書の提出
  • STEP7:助成金の受給

各工程のポイントをおさえ、スムーズな手続きを進めましょう。

STEP1:受給資格の確認と事前準備

申請を検討する最初の段階で、自社が助成金の対象となるかを必ず確認しましょう。

建設業の許可を受けているか、雇用保険料率が建設事業のものかなど、基本要件のチェックが重要になります。

特に見落としがちな要件は、以下のとおりです。

■ 受給資格で見落としがちなポイント

  • 雇用管理責任者を選任しているか
  • 過去に労働関係法令の違反がないか
  • 一定期間、会社都合の解雇をしていないか

「雇用管理責任者」は、社内の人材育成や雇用管理を担当する責任者のことです。まだ選任していない場合は、事業所ごとに適任者を決定し、周知する必要があります。

STEP2:受講する技能講習の選定

次に、従業員に受講させる技能講習を選定しましょう。

現場で不足しているスキルや、今後必要となる資格を洗い出し、受講計画を立てます。

技能講習の選定においては、以下の点を確認しておきましょう。

■ 技能講習選定時のポイント

項目確認内容
講習内容スキルアップにつながる技能講習や特別教育かを確認する
実施機関厚生労働省の登録を受けた教習機関かを確認する
日程業務の繁忙期を避けて受講できるかを確認する

登録教習機関を利用する場合、計画届の提出が免除されるメリットがあります。自社で講師を招いて実施する場合や、登録外の機関を利用する場合は手続きが異なるため注意が必要です。効率的に手続きを進めるためにも、実施機関の選定は慎重に進めてください。

STEP3:計画届の作成と提出

講習内容が決まったら、原則として「計画届」を作成し、事業所の所在地を管轄する労働局へ提出します。

提出期限は「技能実習を開始する日の原則1週間前まで」と定められているため、期限を過ぎると不受理になります。

ただし、登録教習機関が実施する講習を受講する場合や、登録基幹技能者講習実施機関が実施する講習を受講する場合は、計画届の提出は不要です。多くの建設事業者が利用する登録教習機関での受講であれば、STEP3を省略できるため、支給申請のみで済みます。

STEP4:技能講習の受講と賃金の支払い

計画を作成できたら、予定通りに従業員へ講習を受講させます。

人材開発支援助成金は「業務として教育訓練を受けさせる」ことが前提のため、受講期間中は通常の賃金を支払う必要があります。

賃金支払いの注意点は、以下のとおりです。

■ 賃金支払いの注意点

  • 所定労働時間内の受講:通常の賃金を支払う
  • 所定労働時間外・休日の受講:割増賃金を支払う
  • 交通費等の経費:会社が負担する(経費助成の対象)

※参考:建設事業主等に対する助成金のご案内(厚生労働省)

受講日が本来の休日であった場合、振替休日を取得させるか、休日割増賃金を支払う必要があります。処理が適切になされていないと、助成金が不支給になる可能性もあるため、出勤簿や賃金台帳には「教育訓練」や「出勤」と明記し、第三者が見てもわかるように記録を残しましょう。

STEP5:必要書類の準備と受講証明書の取得

講習が終了したら、支給申請に必要な証拠書類を速やかに回収しましょう。

時間が経つと書類の紛失や手配の漏れが発生しやすいため、受講直後の対応を徹底してください。

必ず準備すべき書類は、以下のとおりです。

■ 支給申請時の必要書類

  • 支給要件確認申立書
  • 支払方法・受取人住所届
  • 支給申請書
  • 受講者名簿及び人材開発支援助成金の助成金支給申請内訳書
  • 賃金台帳
  • 就業規則、雇用契約書、休日カレンダー等の受講者の所定労働日及び所定労働時間が分かる書類(全て写し)
  • 出勤簿、タイムカード等の訓練期間中の出席状況を確認するための書類(全て写し)
  • 実施日ごとの科目時間数が分かるカリキュラム
  • 技能実習委託契約書又は受講申込書(全て写し)※登録教習機関等が実施する実習を受講させた場合
  • 所要経費の領収書(写し)※事業主自ら技能実習を実施した場合
  • その他管轄する労働局長が必要と認める書類

※参考:建設事業主等に対する助成金のご案内(厚生労働省)

STEP6:支給申請書の提出

書類が揃ったら、管轄の労働局またはハローワークへ「支給申請書」を提出します。

支給申請書は、「技能実習を終了した日の翌日から起算して2ヶ月以内」に提出しなければなりません。

申請書を提出する際は、以下のポイントに注意しましょう。

■ 支給申請書提出時の注意点

  • 申請期限を1日でも過ぎていないか
  • 申請書と添付書類の内容に矛盾がないか
  • 賃金台帳で賃金の支払いが確認できるか

提出期限を1日でも過ぎてしまうと、いかなる理由があっても申請は受け付けられません。締切間際は窓口が混雑することも予想されるため、期限よりも早めに提出できるよう準備してください。

STEP7:助成金の受給

支給申請書の提出後、労働局による審査が行われます。

審査期間は数か月に及ぶこともあり、追加で書類の修正や提出を求められる場合もあります。労働局からの問い合わせには速やかに対応しましょう。

審査の流れとポイントは、以下のとおりです。

■ 助成金の受給審査の流れとポイント

  • 審査期間:数カ月に及ぶ(明確な期間は公表されていない)
  • 実地調査:必要に応じて事業所への訪問調査がある
  • 支給決定:審査通過後、決定通知書が届く

審査が完了し、支給決定となれば、指定した口座に助成金が振り込まれます。もし、不支給が決定した場合でも、通知書に理由が記載されます。今後の申請に活かすためにも内容は確認しておきましょう。

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人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)申請に必要な書類と記入のポイント

助成金の申請手続きでは、指定された書類を作成し、期限内に提出する必要があります。

書類に不備や不足があると、審査に時間がかかるだけでなく、場合によっては不支給となる可能性もあります。

この章では、申請に必要な書類のリストや作成時の注意点、最新様式の入手先について解説します。

助成金の申請に必要な書類と記入のポイント
  • 計画届に必要な書類一覧
  • 支給申請に必要な書類一覧
  • 書類作成時のチェックポイント
  • 書類のダウンロード先と問い合わせ先

計画届と支給申請書では必要な添付書類が異なるため、それぞれの段階で準備すべきものを把握しておきましょう。

計画届に必要な書類

技能実習を開始する前には「人材開発支援助成金計画届」が必要です。

計画書は、技能実習を開始する日の原則1週間前までに管轄の労働局へ必着で提出しなければなりません。期限を過ぎると受理されないため、余裕をもったスケジュールで準備を進めてください。

支給申請に必要な書類一覧

講習終了後に提出する支給申請書には、実際に訓練を実施し、経費や賃金を負担したことを証明する証拠書類が必要です。

審査の合否に直結するため、漏れなく揃えなければなりません。

主な必要書類は、以下のとおりです。

■ 支給申請時の必要書類

  • 支給要件確認申立書
  • 支払方法・受取人住所届
  • 支給申請書
  • 受講者名簿及び人材開発支援助成金の助成金支給申請内訳書
  • 賃金台帳
  • 就業規則、雇用契約書、休日カレンダー等の受講者の所定労働日及び所定労働時間が分かる書類(全て写し)
  • 出勤簿、タイムカード等の訓練期間中の出席状況を確認するための書類(全て写し)
  • 実施日ごとの科目時間数が分かるカリキュラム
  • 技能実習委託契約書又は受講申込書(全て写し)※登録教習機関等が実施する実習を受講させた場合
  • 所要経費の領収書(写し)※事業主自ら技能実習を実施した場合
  • その他管轄する労働局長が必要と認める書類

※参考:建設事業主等に対する助成金のご案内(厚生労働省)

書類をもとに、労働局が支給要件を満たしているかを厳密に審査します。賃金台帳や出勤簿は、日々の労務管理が正しくなされているかの判断材料にもなります。

申請期限は実習終了日の翌日から2ヶ月以内です。

書類作成時のチェックポイント

書類を作成する際は、些細なミスが審査の遅れにつながるため注意が必要です。

記入漏れや計算間違いがないか、提出前に必ずダブルチェックをしてください。

特に注意すべきポイントは、以下のとおりです。

■ 書類作成時の主なチェックポイント

  • 最新の申請様式を使用しているか
  • 申請書と添付書類の日付や金額に矛盾はないか
  • 修正液や修正テープを使用していないか(訂正は二重線で対応)
  • 賃金台帳の計算が就業規則どおりになっているか

助成金の要件や様式は年度ごとに改訂されることが多いため、必ず申請する年度の最新版を使用してください。

書類のダウンロード先と問い合わせ先

申請に必要な書類の様式は、インターネット上から無料で入手可能です。

また、書類の書き方や制度の詳細について不明点がある場合は、管轄の窓口へ相談しましょう。

書類のダウンロードと相談先は、以下をご参照ください。

■ 申請に必要な書類のダウンロード先と問い合わせ先

項目内容
書類のダウンロード先厚生労働省ホームページ「建設事業主等に対する助成金
問い合わせ先各都道府県の労働局助成金センターまたはハローワーク

申請書類はWordやExcel形式で配布されているため、パソコンで直接入力すると楽です。もし、自社での書類作成が難しい場合は、社会保険労務士への依頼も検討しましょう。

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よくある失敗例と申請時の注意点

助成金の審査は要件を満たしているつもりでも、書類の不備や期限の遅れなどの些細なミスで、不支給になるケースが多いです。

ただし、失敗事例から学び、対策を講じることで審査通過の確率を高くできます。

この章では注意点について、以下の4つの視点から解説します。

よくある失敗例と申請時の注意点
  • 申請期限を過ぎてしまった
  • 賃金の支払いが不適正だった
  • 雇用保険の加入状況を確認していなかった
  • 申請が不受給にならないための5つのポイント

無駄な労力をかけないためにも、事前に注意点を把握しておきましょう。

申請期限を過ぎてしまった

助成金の手続きは期限管理が厳しく、「1日くらいなら大丈夫だろう」と油断してしまうと、いかなる理由でも受理されません。

特に複数の講習を組み合わせる場合、それぞれの期限を個別に管理する必要があります。

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の提出期限は、以下のとおりです。

■ 計画届・支給申請の提出期限

  • 計画届:実習開始日の原則1週間前まで
  • 支給申請:実習終了日の翌日から2ヶ月以内

申請期限を忘れないためにも、カレンダーやタスク管理ツールに登録し、社内で共有しておくと安心です。ギリギリの対応はミスにつながるため、締切の2週間前には提出できるよう余裕を持ったスケジュールを組みましょう

賃金の支払いが不適正だった

技能実習は会社の業務命令として実施するため、受講時間も労働時間とみなされます。

誤って講習日の賃金を控除したり、休日割増を支払っていなかったりすると、不支給になるケースがあります。

受講日ごとの賃金対応は、以下をご参照ください。

■ 受講日の賃金対応

受講日必要な対応
平日(所定労働日)通常の賃金を支払う
休日(所定休日)割増賃金を支払う

適正な賃金支払いを証明するため、賃金台帳や出勤簿は正確に記載しましょう。労務管理の不備は助成金審査で厳しくチェックされるため、日頃から労働基準法等の法令を遵守した運用を心がけてください。

雇用保険の加入状況を確認していなかった

受講者が雇用保険の被保険者であることは、助成金申請において前提の要件です。

しかし、入社直後で加入手続きが完了していなかったり、役員が受講したりして対象外となる事例があります

また、会社自体が建設業の保険料率で適用されているかどうかの確認も必要です。

申請前に必ずチェックすべき雇用保険の項目は、以下のとおりです。

■ 申請時にチェックすべき雇用保険の確認事項

  • 対象労働者が雇用保険に加入済みである
  • 受講者が会社役員や個人事業主(一人親方)ではない
  • 会社の雇用保険料率が建設業のものになっている

要件を1つでも満たしていないと、申請は認められません。不安な場合は、管轄のハローワークや労働局へ問い合わせて、自社の状況や対象者が要件に合致するか相談してみましょう。

申請が不受給にならないための5つのポイント

これまでの失敗例を踏まえ、助成金を受給するための5つのポイントを整理しました。

申請作業を進める際は、以下の項目を意識してください。

■ 申請が不受給にならないためのポイント

  1. 申請期限を厳守する
  2. 賃金を適正に支払う
  3. 雇用保険加入状況を事前確認する
  4. 書類の記入ミスをなくす
  5. 不明点は事前に労働局に相談する

不安な場合は自分一人で判断せず、社労士や労働局に相談しましょう。制度は変更されることもあるため、常に最新情報を入手し、万全の体制で申請手続きを進めてください。

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助成金と採用活動を組み合わせた人材戦略

人材戦略を成功させるためには、助成金の活用と採用活動を、同時に取り組む必要があります。

この章では、電気工事業における効果的な採用アプローチについて解説します。

助成金と採用活動の組み合わせた人材戦略
  • 建設業の人材確保には業界特化型求人サイトが効果的
  • 電気工事士の採用なら「工事士.com」がおすすめ

長期的に安定して人材を確保するためにも、効果的な人材戦略を取り入れましょう。

建設業の人材確保には業界特化型求人サイトが効果的

多くの企業が大手総合求人サイトを利用していますが、建設業界の採用においてはミスマッチが起きやすいのが現状です。

総合サイトは利用者数こそ多いですが、建設業以外の求人が大半を占めており、現場職を志望する層になかなかリーチできません。

一方、業界特化型の求人サイトには、明確な目的を持った求職者が集まりやすいです

■ 総合求人サイトと業界特化型求人サイトの比較

比較項目総合求人サイト業界特化型求人サイト
求職者幅広い職種希望者が多い建設業・技術職志望者がほとんど
志望動機漠然としている場合が多い「手に職をつけたい」など明確
定着率ミスマッチによる離職リスクあり建設業界への理解があり、定着しやすい

特化型サイトを利用することで、求職者にピンポイントでアプローチできます。結果として、選考の手間を減らしつつ、質の高い人材を採用しやすくなるでしょう。

電気工事士の採用なら「工事士.com」がおすすめ

電気工事業界で採用を強化するなら、業界最大級の求人サイト「工事士.com」の活用が効果的です。

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工事士.com」は電気・設備業界に特化した求人サイトのため、ユーザーは電気工事に関心を持つ層が多く、効率的にターゲットへアプローチできます。

工事士.comを利用するメリットは、以下のとおりです。

特化型サイト「工事士.com」を利用するメリット
  • 的確なターゲット層への訴求
    月間ユーザー数は45万人。
    電気・設備業界に特化した求人サイトのため、利用者の約68%が電気工事士の資格保有者。
    また、未取得者でも電気工事士への転職を目指し資格勉強中のユーザーが多いため、希望にマッチした人材と出会いやすい。
  • 電気・設備業界に特化した求人情報のみを掲載
    累計10,000社以上の電気・設備企業が利用。
    業界に絞った求人のみが掲載されているため、他の業種・職種の求人に埋もれず求職者に見つけてもらいやすい。
  • 採用コストの最適化
    掲載料は大手求人媒体の約1/3程度のため、コストを抑えながら効果的な募集が可能。
    さらに掲載期間は大手求人媒体の約3倍のため、コストパフォーマンスも高い。
  • 求人作成や管理も楽
    求人作成は、業界知識豊富なプロのライターが貴社の魅力を最大限に引き出す求人原稿をスピーディに作成。
    また、掲載期間中は無料で何度でも原稿を修正できるため、応募状況を見ながら訴求内容を柔軟に変更することも可能。

「資格取得支援制度」や「充実した研修体制」を工事士.comの求人広告でアピールできれば、求職者の意欲をさらにアップさせられます。

「手に職をつけたい」求職者と、「将来の会社を担ってもらいたい」自社をマッチングさせる出会いの場として活用できるでしょう。

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まとめ

この記事では、人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の仕組みや申請手順、採用活動との連携について解説しました。

この記事のまとめ
  • 建設業界の人手不足解消には、助成金を活用した既存社員のスキルアップが有効
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)とは、建設事業主が従業員に技能実習を有給で受講させた際に、経費と賃金の一部を助成する制度
  • 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)は経費と賃金の助成に加えて、賃金アップによる上乗せ措置も用意されている
  • 受給には厳格な期限管理と、労働法令を遵守した適正な労務管理が求められる
  • 人材戦略を成功させるためには、助成金の活用と採用活動を、同時に取り組む必要がある

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の助成金の活用は、経費削減だけを目的としている制度ではありません。従業員が安心して成長できる環境を整えることは、定着率の向上や新たな人材の獲得につながります。

本記事を参考に、自社の育成計画を見直し、制度の活用に向けた準備を始めてみましょう。

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