建設業の倒産件数は過去10年で最多!中小企業がすぐできる倒産回避策

「資材は高い、人はいない、融資の返済も迫っている…」多くの経営者が頭を悩ませる中、建設業の倒産は過去最悪のペースで急増しています。
しかし、打つべき対策を的確かつ迅速に実行すれば、このピンチは乗り越えられます。
この記事では、最新のデータから倒産の背景にある構造的な問題、倒産を回避して企業を存続させるための対策を、専門的な視点から分かりやすく解説します。
- 建設業の倒産が過去10年で最多に!2025年最新データで見る深刻な実態
- 建設業倒産ラッシュの主な理由は?
- 建設業の深刻な人手不足は倒産に直結する構造的問題
- 倒産を回避するために中小建設業が今すぐできる3つの対策
- 建設業界で生き残るためには人材採用が企業存続の鍵
倒産のリスクを正しく理解し、貴社の事業を持続的に成長させるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
建設業の倒産件数は過去10年で最多に!
建設業の倒産件数はどんどん増えており、2024年には過去10年間で最多を更新しました。
倒産の背景には、資材価格の高騰や深刻な人手不足など、業界が抱える構造的な問題があります。
この章では、建設業界の深刻な実態を以下の視点から解説します。
- 【最新】2025年上半期の倒産件数は986件で4年連続増加
- 2024年の倒産は1,924件で小規模事業者が9割超を占める
- 負債額別・業種別に見る倒産の内訳
帝国データバンクや東京商工リサーチなど、信頼できる機関の最新調査結果を基に、建設業界の倒産動向の詳細を見ていきましょう。
【最新】2025年上半期の倒産件数は986件で4年連続増加
帝国データバンクの調査によると、2025年上半期の建設業における倒産件数は986件となり、前年同期の件数を上回りました。
また、上半期の集計として過去10年間で最多の水準を更新しており、4年連続の増加となっています。
倒産した背景には、以下のような理由が影響しています。
- 資材価格が高止まりしている
- 職人不足で人件費が高騰している
- ゼロゼロ融資の返済負担が増加している
※ゼロゼロ融資とは、コロナ禍で売上が減少した中小企業などを対象に、実質無利子・無担保で事業資金を融資した公的な支援制度のこと
今のペースで倒産が推移すると、2013年以来12年ぶりに2,000件台に到達する可能性が高いです。
特に、賃金を引き上げられない中小建設業者の倒産増加が続くと予想されています。
2024年の倒産は1,924件で小規模事業者が9割超を占める
2024年の建設業倒産件数は1,924件に達し、過去10年間で最多を記録しました。
倒産増加は、経営基盤の弱い小規模事業者に集中しています。
東京商工リサーチの調査によると、従業員数別の倒産件数・構成比は以下のとおりです。
従業員数 | 倒産件数 | 構成比 |
---|---|---|
5人未満 | 1,446件 | 75.1% |
5人以上10人未満 | 335件 | 17.4% |
10人以上 | 143件 | 7.5% |
上記の内訳から、従業員10人未満の事業者が全体の9割以上を占めていることが分かります。設備投資の余力や内部留保が少ない小規模事業者が、急激なコスト上昇や人手不足により、淘汰されつつある現状が浮き彫りになりました。
負債額別・業種別に見る倒産の内訳
資本力が弱い企業の苦境が明らかになる一方で、大型倒産の増加も業界全体のリスクになっています。
負債別額・業種別での倒産を見ると、以下のような実態が見えてきました。
■負債額別の内訳
負債額別 | 倒産件数/割合 |
---|---|
1千万円以上5千万円未満 | 1,083件(56.2%) |
5千万円以上1億円未満 | 364件(18.9%) |
1億円以上5億円未満 | 415件(21.6%) |
5億円以上10億円未満 | 41件(2.1%) |
10億円以上 | 21件(1.1%) |
1千万円以上5千万円未満が最多で全体の約6割を占めていますが、10億円以上の大型倒産も前年比で133.3%増となっています。
■業種別の内訳
業種別 | 倒産件数/前年比 |
---|---|
建築工事業 | 301件(18.5%増) |
土木工事業 | 249件(15.2%増) |
土工・コンクリート工事業 | 179件(21.7%増) |
業種別の内訳からは、特定の業種に偏ることなく、建設業界のあらゆる分野で経営環境が悪化している実態が分かります。
大型倒産の増加は、「大型プロジェクトに伴うリスクが中堅以上の企業にも波及している」と言えるでしょう。
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建設業の倒産ラッシュの主な理由は?
建設業界の倒産件数が急増している背景には、いくつかの問題が絡んでいます。
倒産増加の背景には、主に以下の3つの理由が挙げられます。
- 資材価格高騰で利益が消える
- 人手不足で人が集まらない
- ゼロゼロ融資の返済負担
自社が抱えるリスクを正確に把握するために、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
資材価格高騰により利益が消える
資材価格の高騰は建設業者の利益を圧迫し、倒産の要因となっています。鉄骨や木材、セメントなどの主要な建築資材は、世界的な需要の増加や円安の影響を受けて価格が上昇し、高止まりが続いています。
帝国データバンクの調査では、2025年上半期の建設業倒産のうち、118件が「物価高」に起因するものでした。特に、下請けが中心となる中小企業では、元請けに対してコスト上昇分を価格に転嫁せずに受注しているケースも見られます。
工事を請け負うほどに損失が膨らむ悪循環が、企業の資金を徐々に奪い、最終的に事業継続を断念せざるを得ない原因となっています。
人手不足で人が集まらない
深刻な人手不足も、建設業の倒産につながる構造的な問題です。
東京商工リサーチによると、2024年に発生した「人手不足倒産」は180件となっており、前年の1.4倍にも増加しています。技能労働者の高齢化や若年層の入職者減少により、現場の担い手確保は年々難しくなっているのが現状です。
そのため、人材不足は以下のような形で経営を圧迫しています。
- 人件費の高騰:優秀な人材を確保するための、賃金上昇が利益を圧迫している
- 工期の遅延:職人が集まらず、工期が延長され、追加コストが発生している
- 受注機会の損失:新たな工事の発注に対応できないため、案件を受注できない
- 外注費の増加:自社で対応できない工事を外注することで、コストが増加している
結果的に、技術を継承していくための人材が集まらなければ、事業の存続自体が難しくなります。
人材の確保と育成が、企業の存続を左右する課題といえるでしょう。
ゼロゼロ融資の返済負担
コロナ禍の緊急経済対策として導入された「ゼロゼロ融資」の返済が、建設業者の資金繰りを圧迫し、倒産につながっています。ゼロゼロ融資とは、実質無利子・無担保で運転資金を借り入れられる制度で、多くの企業が経営を維持するために活用しました。
しかし、業績が十分に回復しないまま返済時期を迎えた企業にとって、ゼロゼロ融資の返済が新たな負担となっています。
資材価格や人件費の高騰でただでさえ収益性が悪化しているところに、融資の返済が重なると、資金繰りに行き詰まるケースも見られます。
2025年上半期の建設業における「ゼロゼロ融資後倒産」は316件にのぼり、一時的な延命措置が、かえって企業の経営体力を奪う結果となってしまいました。
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倒産に直結する「建設業の深刻な人手不足」が起きている理由
建設業の深刻な人手不足は、倒産に直結する大きな問題です。問題を改善できなければ、企業の施工能力の低下や受注機会の損失につながり、最終的には倒産してしまうでしょう。
この深刻な状況は、主に以下の3つの構造的な要因によって引き起こされています。
- 建設業就業者数自体が減少傾向
- 若手層が集まらない
- 高齢化と2025年問題
以下では、国のデータを基に、人手不足がなぜこれほどまでに深刻化しているのか、構造的な要因を詳しく解説します。
建設業就業者数自体が減少傾向
建設業の就業者数は減少傾向にあります。
国土交通省の調査によると、建設業就業者数は1997年の685万人を頂点に、2021年には485万人まで落ち込みました。
約25年間で200万人以上も減少した計算になります。

一方で、建設投資額は回復傾向にあり、仕事はあっても担い手がいないという「需給ギャップ」が拡大しています。
特に、地方の中小企業では人材確保が難しく、事業を維持するための最低限の従業員数さえ確保できなくなりつつあります。
就業者数の土台そのものが縮小している現状は、業界全体の供給力を低下させ、企業の存続を脅かす大きな要因です。
若手層が集まらない
建設業界では、将来を担う若手が集まらないという問題を抱えています。
国土交通省のデータでは、建設業就業者のうち29歳以下の若年層が占める割合は約1割にとどまっており、全産業平均と比較しても低い水準です。

若手が建設業を敬遠する主な理由は、以下のとおりです。
- 「3K(きつい・汚い・危険)」という労働環境のイメージが根強い
- 他の産業と比較して休日が少なく、長時間労働になりがち
- 給与やキャリアアップのプランが見えにくい
実際に建設業界に就職したとしても、新規高卒就業者の3年以内の離職率は約4割に達しています。このまま若手が入職・定着しなければ、企業の存続自体が危ぶまれるでしょう。
高齢化と2025年問題
建設業就業者の高齢化は、他の産業と比較しても著しく進行しています。
就業者の約35%を55歳以上が占めており、熟練した技術を持つ層が数年内に一斉に引退時期を迎える「2025年問題」が問題視されています。
2025年問題とは、1947年〜1949年生まれの団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、労働市場から大量に離脱することで生じる問題の総称です。
建設業界においては、熟練技能者が大量に退職することで、長年培われてきた高度な技術やノウハウが一気に失われる恐れがあります。
ベテラン職人に技術力を依存してきた中小企業にとっては、後継者が見つからなければ事業の継続は難しいでしょう。
後継者難を理由とした倒産も増加しており、高齢化は企業の存続を揺るがす重要な課題です。

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倒産を回避するために中小建設会社が今すぐできる3つの対策
資材価格の高騰や深刻な人手不足などの課題に対し、受け身でいては倒産のリスクが高まるばかりです。しかし、課題が明確であるからこそ、打つべき対策も具体的に見えてきます。
会社を存続させるためには、以下のような対策が有効です。
- 人材確保を最優先に、即戦力と若手層の採用を強化
- 価格転嫁の交渉力を高め、適正価格での受注体制を構築
- 資金繰りの見直しと経営改善、金融機関に早期相談する
この章では、倒産を回避するために中小建設業が今すぐ実践すべき対策をご紹介します。
人材確保を最優先に、即戦力と若手層の採用を強化
倒産させないために最優先で取り組むべきことは、即戦力・若手層の人材確保です。
人材を確保できなければ、この深刻な人手不足の中で事業を維持することは困難であり、倒産は避けられないからです。
施工体制の維持・強化は企業経営に欠かせません。そのため、即戦力となる経験者と、会社の未来を担う若手の両面から採用を強化する必要があります。
経験豊富な技術者や有資格者を確保するためには、業界に特化した求人サイト(工事士.comなど)を活用するのも有効な採用方法です。
一方で、若手人材に選ばれる企業になるためには、魅力的な労働環境の整備が重要になります。給与や休日だけでなく、明確なキャリアパスを示すことで、長期的な定着を実現できるでしょう。
経営資源の「人材」を確保し、育てていくことが企業の発展を支えます。

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価格転嫁の交渉力を高め、適正価格での受注体制を構築
価格転嫁の交渉力を高め、適正な価格で受注できる体制を作ることは、経営を安定させるために重要です。
資材価格や人件費が上昇し続ける中で、従来の価格のまま受注を続ければ、利益が圧迫されるだけでなく、赤字工事になってしまいます。
元請けや発注者に対して臆することなく交渉するためには、説得力のある根拠を示す必要があります。日頃から工事原価を正確に管理し、「なぜこの価格が必要なのか」を具体的に説明できるように準備しておきましょう。
例えば、ITツールを導入して原価管理を効率化することも有効な手段です。赤字受注を避ける勇気をもち、利益を確保する姿勢が倒産回避につながります。
資金繰りの見直しと経営改善、金融機関に早期相談する
資金繰りの見直しと経営改善は、倒産を回避するための最終防衛ラインです。
まずは、自社のキャッシュフローを正確に把握し、資金が不足する状況をすぐに察知できる体制を整えます。
その上で、無駄な経費の削減や業務の効率化を進め、収益体質の改善を図りましょう。
特に、ゼロゼロ融資の返済などで資金繰りが厳しい場合は、状況が悪化する前に取引のある金融機関へ相談してください。返済計画の見直しや追加融資など、早い段階で相談すると、今後の選択肢が広がります。
国や自治体が提供する補助金・助成金の活用も積極的に検討し、あらゆる手段を講じて手元の資金を確保するようにしましょう。
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建設業界で生き残るためには人材採用が企業存続の鍵
どれほど優れた技術や経営戦略があっても、実行する人がいなければ企業は存続できません。特に専門性が求められる建設業界では、人材の確保と育成が、厳しい市場で生き残るための最も重要なポイントです。
この章では、企業が生き残るための採用戦略を解説します。
- 人材を集め育てることが最優先課題
- 電気・設備業界特化型求人サイト「工事士.com」の活用
人材を確保し、企業を存続させる方法を詳しく見ていきましょう。

人材を集め育てることが最優先課題
人材を集め育てることが、企業の存続における最優先課題です。
工事を受注し、建物を完成させるには「人」がいなければ成り立ちません。
特に、電気工事業界のような専門性が高い分野では、人手不足がさらに深刻化しています。
厚生労働省のデータによると、電気工事従事者の有効求人倍率は3倍を超えており、多くの企業が人材を取り合う厳しい採用競争が続いています。
競合他社も同じように人材確保に苦戦している今だからこそ、採用戦略に力を入れる企業が生き残れるでしょう。
即戦力となる経験者の確保と並行して、未経験の若手をじっくりと育てていく長期的な視点も重要です。人材への投資こそが、会社の存続を左右すると言えます。

電気・設備業界特化型求人サイト「工事士.com」の活用
建設業界の中でも電気工事士の人材をお探しの場合、人材確保の方法として、電気・設備業界に特化した求人サイト「工事士.com」の活用が有効です。
一般的な総合求人サイトは、利用者が多く、職種が複数にわたるため、専門職である電気工事士を見つけ出すのは簡単ではありません。
その点、業界特化型のサイトは、専門分野で働きたいと思っている意欲の高い人材が集まるため、採用のマッチング精度が高まります。
- 専門的な技能を持っている人材が集まっている
電気工事士や施工管理技士など、資格や経験を持つ人材が多数登録している - 求職者へ効率的にアプローチできる
既に技能を保有している人材にアプローチできるため、採用の手間を効率化できる - ミスマッチを防げる
応募者が業界を理解しているため、入社後のミスマッチが起こりにくい
多くの企業が人材確保に悩む中で、ただ待つだけではなく、求める人材が集まる場所に絞ってアプローチする戦略が求められます。
ハローワークや一般的な求人サイトで成果が出にくいと感じている場合、専門分野に特化した「工事士.com」のような業界特化型サイトはおすすめです。
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まとめ
この記事では、建設業界の現状から倒産を回避するための対策、企業存続の鍵となる人材採用戦略までを解説しました。
- 建設業の倒産は過去最多水準で、「資材価格の高騰」「人手不足」「ゼロゼロ融資の返済負担」が主な原因
- 就業者数自体の減少、若手層の不足、2025年問題などの構造的な課題が、倒産につながっている
- 倒産を回避するには「人材確保」「価格転嫁」「資金繰りの見直し」などが必要になる
- 「採用」と「育成」を両方行うことが人手不足対策になる
建設業界で生き残るためには、業界の厳しい現状を正確に把握し、人材確保を最優先に考えた経営戦略を実践する必要があります。
価格転嫁や資金繰りの改善などの対策と同時に、「工事士.com」のような業界特化型サイトを活用して、人材を積極的に採用しましょう。