電気工事会社の倒産が増加する原因は?回避する解決策や生き残る会社の特徴も解説!

資材価格の高騰や深刻な人手不足、後継者問題などを原因として、電気工事会社の倒産は過去10年で最多の水準にまで増加しています。
これらの課題に対して、適切な対策を講じなければ、経営を続けることが困難になる可能性があります。
この記事では、最新のデータを基に電気工事会社の倒産が急増している理由や、倒産を回避するための対策を解説します。
- 電気工事会社の倒産の現状について
- 電気工事会社の倒産が増加する要因
- 電気工事会社の倒産を回避する5つの対策
- 生き残る電気工事会社の特徴
倒産のリスクを正しく理解し、この先何十年も愛され続ける会社づくりの方法を学びましょう。

電気工事会社の倒産は本当に増えているのか?
電気工事会社の倒産件数は、年々増加しています。
建設業全体の倒産件数のうち、電気工事を含む設備工事業が約22%を占めています。
これは過去10年間で最も多い件数です。
この章では、各業界や全国の倒産状況について解説します。
- 電気工事会社の倒産状況
- 建設業界の倒産状況
- 全国の企業倒産状況
3つの視点から倒産状況の全体像を見ていきましょう。
電気工事会社の倒産状況
帝国データバンクの調査によると、電気工事を含む「設備工事業」の倒産は、2024年に411件も発生しています。
建設業全体の倒産件数(1,890件)のおよそ2割を占めており、決して少ない数字とは言えません。
倒産に至る背景には、業界特有の共通したパターンがあります。
■ 電気工事会社が倒産に至る主なパターン
| 倒産パターン | 内容 |
|---|---|
| 人手不足による倒産 | ・技術者を確保できず、受注を断らざるを得ない ・受注減少→売上減少→固定費が賄えず経営悪化→倒産に繋がっている |
| 後継者不在による廃業 | ・代表者が高齢化している ・後継者がいない ・承継先が見つからず事業継続を断念している |
| 資材高騰による利益圧迫 | ・銅価格など資材の高騰で原価が上昇している ・下請け構造により価格転嫁が難しい ・利益率低下→資金繰り悪化→倒産に繋がっている |
特に小規模な事業者にとって、人手不足や資材の高騰は事業の存続に繋がる現実的なリスクです。自社の状況と照らし合わせ、早めに対策を検討する必要があるでしょう。
建設業界の倒産状況
2024年における建設業全体の倒産件数は1,890件にのぼり、コロナ禍以降増加傾向にあります。
■ 建設業界の倒産件数 推移

※引用:「建設業」倒産動向調査(2024年)(帝国データバンク)
倒産した企業の規模を見ると、従業員が少ない企業ほど倒産件数が多いことが分かります。
■ 建設業における倒産企業の従業員規模
| 従業員規模 | 倒産件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 10人未満 | 1,742件 | 92.2% |
| 10人以上50人未満 | 143件 | 7.6% |
| 50人以上100人未満 | 5件 | 0.32% |
上記の結果から、経営基盤が弱い企業ほどコスト上昇圧力に対応しきれていない厳しい実態が見て取れます。
電気工事会社は10人未満の小規模事業者の場合が多いため、上記のような建設業界全体の動向は無視できません。

全国の企業倒産状況
電気工事業界だけではなく、視野を全国に広げると業種を問わず多くの企業が厳しい状況にあります。
東京商工リサーチの調査によると、2024年度の全国企業の倒産件数は10,144件に達し、11年ぶりに1万件を超えました。
全国的な倒産状況は、以下のとおりです。
■ 2024年度全国企業の倒産状況の概要
- 全体件数 :10,144件に達し、11年ぶりに1万件を超えた
- 増加傾向 :3年連続で前年度の件数を上回っている
- 規模の特徴 :負債額1億円未満の小規模倒産が全体の75.4%を占めている
- 業種別の動き:サービス業の倒産件数が最も多いものの、建設業も増加している
倒産の波は特定の業界に限らず、あらゆる事業者に影響を及ぼしています。全国的な倒産増加の動向は、自社の経営リスクを知るのに重要な指標といえるでしょう。
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電気工事会社の倒産が増加する要因
電気工事会社の倒産件数が増加する背景には、業界が抱える構造的な課題があります。
特に、以下の3つのリスクは多くの電気工事会社にとって無視できない要因です。
- 深刻化する人手不足が倒産を加速
- 後継者不在による廃業リスク
- 資材高騰と下請け構造による利益の圧迫
自社の経営状況と照らし合わせながら、それぞれの要因がどのように倒産に繋がるのかを詳しく見ていきましょう。
1. 深刻化する人手不足が倒産を加速
深刻化する人手不足は、電気工事会社の倒産を加速させる大きな要因の1つです。
東京商工リサーチの調査によると、2025年1月から9月までの全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」を理由とした倒産は285件(前年同月比31.3%増)にのぼり、過去最多を記録しました。
■ 人手不足関連で倒産した企業の詳細内訳

※引用:2025年1-9月の「人手不足」関連倒産(東京商工リサーチ)
※対象は、2025年1月から9月までの全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」を理由とした倒産企業
電気工事会社においても、仕事はあっても対応できる人材がいないため、最終的には倒産に至ってしまうケースが見られます。
人手不足が倒産へ至る流れは、以下のとおりです。
■ 人手不足から倒産へ至る流れの例
- 技術者の不足で新規の工事受注を断念する
- 受注機会の損失が売上減少につながる
- 売上が減っても固定費の支払いは継続しなくてはならない
- 最終的に資金繰りが悪化して倒産する
電気工事業界の有効求人倍率も高い水準で推移しており、若手入職者の減少とベテラン層の高齢化が、人手不足に拍車をかけています。


2. 後継者不在による廃業リスク
後継者不在による廃業リスクも、倒産件数を押し上げている要因です。
2025年度の1月〜9月の「後継者難」による倒産は332件と、過去2番目に高い水準でした。
■ 人手不足倒産の企業のうち「後継者難」の企業数推移

※引用:2025年(1-9月)の「後継者難」倒産(東京商工リサーチ)
また、代表者の「死亡」を理由とする倒産が、158件発生しています。この結果から、事業承継の準備が間に合わないまま、突然事業継続が不可能になるケースが増えていることが分かります。
たとえ黒字経営であっても、計画的な事業承継の準備がなければ、倒産は免れないでしょう。
3. 資材高騰と下請け構造による利益の圧迫
資材高騰と業界特有の下請け構造が、電気工事会社の利益を圧迫しています。
実際に、帝国データバンクの調査によると、2024年の建設業倒産のうち250件は資材価格の上昇などを理由とする「物価高倒産」でした。
■ 建設業会社で倒産した企業のうち「物価高」が原因の企業推移

※引用:「建設業」倒産動向調査(2024年)(帝国データバンク)
特に、電気工事に欠かせない銅の価格は高騰を続けており、2024年5月に銅価格は過去最高値の1,750円/kgを記録したほどです。
問題なのは、コストが上昇しても、その分を工事価格へ十分に転嫁できていない現状です。建設業界の下請け構造の中では、元請け企業に対して価格交渉を進めるのが難しいとされています。そのため、売上はあっても利益がほとんど残らないため、最終的には資金繰りの悪化を招き倒産に繋がっています。
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電気工事会社の倒産を回避する5つの具体的対策
倒産を回避するためには、問題を正しく理解し、有効な対策を実行しなければなりません。
ここからは、従業員が少ない中小企業でも実施できる5つの対策について解説します。
- 採用力を強化して人手不足を解消する
- 事業承継計画を早期に策定する
- 資金繰りを改善し、財務体質を強化する
- 取引先との価格交渉力を高める
- IT化・DX推進で業務効率を向上させる
現状を正しく把握した上で、対策を実行すれば倒産のリスクを低減させられます。
1. 採用力を強化して人手不足を解消する
人手不足倒産が急増する中、採用力を強化して人手不足を解消することは、倒産を回避するための最優先課題です。
採用力を強化する具体的な対策としては、以下のようなものが考えられます。
■ 電気工事士の採用力強化の具体例
- 業界特化型の求人サイトを活用する
- 業界の平均以上の給与や待遇を目指す
- 休日や労働時間を見直し、働きやすい環境を整える
- SNS(InstagramやTikTok)で会社の魅力を発信し、若年層にアプローチする
特に「工事士.com」のような業界特化型の求人サイトは、意欲の高い人材と出会える可能性が高いです。従来の採用手法にこだわらず、給与体系の見直しやSNSの活用など、新しい取り組みを積極的に活用する姿勢が求められるでしょう。
採用活動を成功させるための具体的なノウハウや「工事士.com」の活用法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。


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2. 事業承継計画を早期に策定する
事業承継計画を早い段階で策定することは、後継者不在による廃業リスクを回避するために有効です。
「後継者難」による倒産が高水準で推移している中、事業承継は今すぐ始めるべき経営課題と言えます。
事業承継をスムーズに進める手順は、以下のとおりです。
■ 事業承継のステップ例
- 後継者候補をリストアップする(親族、従業員、第三者)
- 5年から10年かけて後継者を育成する
- 株式や資産の承継計画を作成する
- 取引先に後継者を紹介し関係を構築する
- 税理士や弁護士などの専門家に相談する
事業継承には時間がかかりますが、できることから少しずつ進めることが重要です。
詳しい事業継承の進め方や公的な支援策については、中小企業庁が公表している「事業承継ガイドライン」にてご確認ください。
3. 資金繰りを改善し、財務体質を強化する
資金繰りを改善し、財務体質を強化することは、会社の体力を維持する上で重要です。
売上があっても手元の現金が尽きれば「黒字倒産」に陥る可能性があるため、安定したキャッシュフローの確保が事業継続に繋がるでしょう。
主な資金繰りの改善策と資金調達の方法は、以下のとおりです。
■ 主な資金繰りの改善策と資金調達方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資金繰り改善の具体策 | ・手元資金を最低3ヶ月分を確保する ・売掛金の回収サイクルを短縮する(請求書の早期送付、支払い条件の見直し等) ・不要な在庫を削減する ・固定費を見直しする(オフィス賃料、保険料等) |
| 資金調達の方法 | ・銀行融資の見直し(金利の低い融資への借り換え) ・補助金、助成金を活用する(ものづくり補助金、IT導入補助金等) ・ファクタリングを活用する(売掛金の早期現金化) |
改善策を実践することで、不測の事態にも耐えられる強固な財務体質を構築できます。なお、専門的な判断が必要な場合は、税理士や金融機関へ相談することが望ましいでしょう。

4. 取引先との価格交渉力を高める
取引先との価格交渉力を高めることは、倒産を回避するために有効な対策です。
特に下請け企業は工事価格への価格転嫁が難しいため、技術力や品質で他社との差別化を図り、価格以外の価値を提供することが重要です。
なお、交渉の際は、資材価格の推移など客観的なデータで裏付けると説得力が増します。また、値上げを要求するだけでなく、長期契約などを引き換えに価格改定を提案するなど、取引先とWin-Winの関係を築くことも大事です。
5. IT化・DX推進で業務効率を向上させる
IT化・DX推進で業務効率を向上させることは、生産性を高める上で有効です。
アナログな業務プロセスをIT化し、少ない人数で高い成果を出す経営体質への転換が求められます。
例えば、以下のようなITツールを導入すると、業務の無駄を削減できます。
■ 業務効率化できる主なITツール
- 工事管理システム :現場の進捗状況をリアルタイムで共有し、移動や確認の手間を省く
- 勤怠管理システム :労働時間を正確に管理し、給与計算などの事務作業を効率化する
- クラウド会計ソフト:請求書発行や経費精算などのバックオフィス業務を自動化する
IT化やDXを推進する場合、「IT導入補助金」などを活用すれば、費用負担を抑えながらDXを進められます。IT化やDX推進で業務プロセスを見直すと、人手不足で人材が集まらなくても、競争力を維持できるでしょう。

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生き残る電気工事会社の特徴
倒産件数が過去最多を更新する一方、厳しい環境でも着実に成長している企業もあります。
この章では、生き残る電気工事会社の特徴について解説します。
- 採用力が高い
- 安定した経営基盤がある
- 業界変化への対応力が高い
生き残る会社の特徴を学び、自社の事業経営に役立てましょう。
採用力が高い
生き残る電気工事会社は、採用力が高いです。
「人手不足倒産」が過去最多ペースで増加している現状では、人材確保が事業継続の生命線であることが分かります。
採用力が高い会社の採用戦力は、以下のとおりです。
■ 採用力を高められる採用戦略例
- 給与・待遇が業界平均以上に設定されている
- 働きやすい環境(休日、労働時間、福利厚生)が整備されている
- 求人サイト(工事士.comなど)を効果的に活用している
- 会社の魅力を積極的にSNSやホームページで発信している
- 若手の育成に力を入れている
これらの取り組みは、社員に優しい企業というだけではなく、人手不足を解消する戦略的な経営判断です。人が集まる会社には、自然と質の高い人材が集まり、企業は「選ばれる」立場になります。その結果、技術力やサービスの質が向上し、取引先からの新しい仕事の受注にも繋がるでしょう。

安定した経営基盤がある
安定した経営基盤を持っていることも、生き残る会社に共通する特徴です。
場当たり的な経営ではなく、常に先を見据えた堅実な財務戦略を実践しています。
例えば、特定の元請けに依存せず複数の取引先を確保し、受注の波によるリスクを分散させています。また、安易な価格競争に乗らず、技術力に見合った適正な利益率を確保することで、次の投資へと繋げているのも特徴でしょう。
盤石な財務・経営基盤が、資金繰りの悪化や後継者不在などの倒産リスクから会社を守ることができます。
業界変化への対応力が高い
業界変化への対応力が高いことも、生き残る会社が持つ強みです。
現状維持は衰退に繋がると考え、常に業界の新しい技術やトレンドに注目しています。
具体的には、以下のような変化への対応を積極的に進めています。
■ 電気工事業界の変化
- 新領域への進出 :太陽光発電やEV充電設備など、新しいニーズを開拓する
- IT化・DXの推進:工事管理システムなどを導入し、業務効率を向上させる
- 人材への投資 :資格取得や研修を支援し、会社全体の技術力を高める
2025年以降、人手不足倒産はさらに増加し、M&Aなどによる業界再編も加速すると予測されています。厳しい環境下で生き残るには、「採用力」「事業承継」「IT化」「財務体質」を強化していく必要があります。
業界の変化を先読みし、他社に先駆けて行動を起こす対応力こそが、倒産を回避することに繋がるでしょう。
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ここまでご紹介してきたとおり、電気工事会社の倒産には「人手不足」が大きく影響しています。
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まとめ
本記事では、電気工事会社の倒産が急増している厳しい現実と、背景にある「人手不足」「後継者不在」「資材高騰」の3つの要因をデータに基づいて解説しました。
- 電気工事会社の2024年殿倒産件数は411件と、過去10年で最多になっている
- 電気工事会社が倒産する要因となる3大リスクは「人手不足」「後継者不在」「資材高騰」
- 電気工事会社の倒産を回避する5つの具体的対策は「採用力強化」「事業承継」「資金繰り改善」「価格交渉」「IT化」
- 生き残る電気工事会社の特徴は、「採用力の高さ」「安定した経営基盤を持っている」「業界変化に対する対応力の高さ」
- 適切な対策をとれば電気工事会社の倒産は回避できる
人手不足倒産が急増する中、採用力が企業の生死を分ける時代になっています。優秀な人材を確保できれば、受注が増えて売上が安定し、会社の将来は盤石と言えます。
まずは今からできることを1つずつ実践していきましょう。


